トランプ大統領との会談前に同氏の今後の対ロシア外交方針で安倍首相を最も不安にさせたものは何か?ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究センターのワレリー・キスタノフ所長は、「スプートニク」に次のような見方を表した-
「安倍首相は、トランプ氏がロシアとの関係を改善する方針をとった場合、プーチン首相が日本を必要とする根拠が少なくなることを非常に懸念していた。その場合ロシアは孤立から脱するためロシアには領土問題の解決策を模索するインセンティブが低下し、日本はこの問題で何らかの譲歩をしなければならなくなる。だがどうやら今これらの懸念は安倍首相の中で二義的なものになった。安倍首相はロシアとの対話におけるトランプ氏側からの障害を一切感じなかった。またトランプ氏は、以前オバマ大統領が安倍首相との会談でいつも述べていたようなことを一切言わなかった。オバマ大統領は日本の首相にロシアとの関係を密にするための適切な時期を選び、G7の対ロシア制裁措置に抵触しないよう粘り強く助言した。だがトランプ氏はそのようなことを一切言わなかった。そのため安倍首相は、ロシアとの対話を前進させる一定の白紙委任を受け取ったと述べることができたのだ。」
「今日両国にとって最も重要な課題は効果的な解決策を見つけること、いかなる法的根拠に基づいてクリルでの共同経済活動を実現するかということだ。私が知る限り、ロシア側の提案はすでに準備が整っている。それらはトルトネフ氏(ロシア極東連邦管区大統領全権代表)によって提案され、すでにロシア首相のテーブルの上にある。日本側からは、共同経済活動関連協議会が設置された。したがってメカニズムはすでに始動し、作業が進められている。」
注目に値するのは、安倍首相にとってロシアとの関係における優先事項はクリル問題に限られてはいないということだ。米国から帰国した安倍首相はメディアに対し、シリアやウクライナの紛争を含む世界の主要な問題を解決するためにプーチン大統領と対話をするというトランプ氏の意欲にも同調していると伝えた。