ロシアの雑誌「エクスペルト」の金融アナリスト、アンナ・コロリョワさんも、そうした見方に賛成している。スプートニク日本のタチヤナ・フロニ記者の取材に、彼女は次のように答えてくれた-
「ここ数年、2013年から2017年までの日本の予算に関する報道に目を通すならば、ニュースの見出しから直接、次のような傾向を指摘できる。各見出しはそれぞれ、連続的に進む重大な予算の増加を確認している。その際、予算増加の記録的テンポの土台になるような歳入の存在を、私は目にしていない。日本の当局が何を計画しようが、近い将来を見据えて何を発表しようが、それでもやはり日本経済の景気動向は、現在不安定なままだ。日本の経済が、穏やかな成長の途上にあるとしても、その傾向は大変脆弱である。穏やかな成長のテンポというのは、例えば米国が、金利を引き上げるか、それとも引き上げないかという問題を解決していた時、米当局が心配してきたものだ。日本ではそもそも、金利はマイナスである。これは、銀行においても、一般市民に対しても否定的影響を与えている。人々は、銀行にお金を積極的に預けには行かないし、自分の国の経済にも投資しない。お金は、まるで眠った状態で、人々のポケットの中に貯まるばかりだ。つまりお金は、少なくとも、完全には経済活動に回らない。銀行でも今日、お金をどこに融資するか特に理解していない。」
日本経済にとって、二番目に不安な要素は、新しい予算において5兆1300億円という新たな防衛費だ。この額は、戦後からこれまでの期間中で、最大のものとなった。おまけに5年連続で増えている。この事は、日本の軍事潜在力が絶えず拡大していることを物語っている。日本政府は、これについて、焦眉の安全保障問題によるものだとし、一貫して増大しつつある中国の側からの軍事的脅威、そして北朝鮮のミサイル及び核プログラムに対する懸念を、その根拠として挙げている。
アンナ・コロリョワさんは「おそらく、そうしたことが日本経済を急速に『回復させ』、その安定した成長を保証するなどという事はありえない」と指摘し、さらに次のような考えを示してくれた-
こうした主張に対し、ロシア最高経済学院の専門家、アンドレイ・フェスュン氏は、別の意見を持っている。氏は、日本はすでに大分以前から、倫理的にもっと多額の軍事支出をする用意があったと考えている。最近行われた安倍首相と米国のトランプ新大統領との会談後、日本は、この課題を自分自身のために確認したに過ぎない。そして惜しげもなく防衛目的での支出がなされている。
フェスュン氏は、次のように指摘している-
「新しい軍事予算は、大きな収入が見込める非常に多くの数の日本人の働き口を予想している。おまけに、それは十分長期にわたるものだ。それゆえ、今後少なくとも5年間、確信をもって日本では新たな軍事支出の伸びを予想できる。なぜなら、中距離ミサイルの製造など、ミサイル部門の強化が計画されているからだ。また日本の潜水艦の近代化も進められる。」
新しい予算によれば、日本は、米国との共同プロジェクトの枠内で、新型迎撃ミサイル開発向けの予算を拠出し、海上及び地上発射の対ミサイル防衛システムを強化し、さらには新世代のF-35戦闘機を買い入れる意向である。それ以外に、中国との間に島の領有権をめぐり争いがある東シナ海の無人島防衛のための予算も確保された。このように、日本政府は現在、多くの点で、自らの対外政策の必要性をまず念頭に置いて、経済戦略を築いていると言ってよいだろう。