エカテリーナ・アレーエワ
1. 産休が長期
ロシアでは公式な産休が最大3年になることもある。これにより、妊娠した女性はゆっくりと出産の準備ができる(妊娠7ヶ月で休みに入る)。多くの女性は、子どもが1歳~1歳半になると職場に復帰する(1年半まで給与の一部が維持されることから)。とはいえ、キャリアを長く中断したくないと考えて、出産後数ヶ月で職場復帰する女性もいる。
「ロシアの祖父母は、欧米の祖父母と違い、孫を助けなければいけない(頼まれなくても)、孫は自分たちの責任と考えている」とマイアー氏。母が出産し、産院を出てしばらくは、祖母が新生児のそばにいる。母にはマニキュアを塗る余裕もある。子どもが保育所に通う場合は、祖母が迎えに行く。他にもたくさんの手伝いをする。子どもの多くは夏になると、祖母のいる別荘で過ごす。親はその間、街で仕事をする。
3. 新しいことにも挑戦
収入の高い大都市のロシア・ママについて、マイアー氏は著書の中で語っている。とても客観的である。ロシアの女性は妊娠中、産院について入念に調べる。ロシアでは、ヨーロッパに匹敵する快適な産院から、古いソ連式の産院まで、かなり水準にばらつきがある。自宅での出産や浴槽での出産も人気になってきている。新生児がアメリカの市民権を手に入れられるようにと、アメリカに渡って出産する女性もいる。また、ロシアの女性は近年、モンテッソーリの保育園・幼稚園、ウォルドルフ・スクール、言語学学校、フィリピン人のベビーシッターなど、異なる教育モデルにも関心を持っている。
4. 伝統の恵み
異なる良い文化を吸収しようとがんばるロシア・ママだが、やはり上の世代の経験から多くを得ている。ロシアでは、外の気温がマイナス10度でも、どの赤ちゃんもベビーカーの中で、または家のバルコニーで、すやすやと眠っている。外出する時は帽子をかぶせるし、男児でも女児でも学校に上がるまでタイツをはかせる。新生児には1歳になるまで筋肉を増強させる健康マッサージを行うという、ソ連の良き伝統も残っている。また、ほぼ思春期まで、夜、本を読んで聞かせる。マイアー氏によれば、「子どもに読書への愛を植え付けることは、ロシアの母にとって名誉の問題」なのだという。
5. 医者を信じない
残念ながら、ソ連の負の遺産が残っているロシアの国立病院もまだ多いため、ロシア・ママは医者代わりにだってなる。親は担当医の指示を何度も調べるし、子どもがただ風邪を引いているだけでも指示を疑ってかかり、セカンド・オピニオン、サード・オピニオンと、違う医師の診察を受ける場合も多い。マイアー氏が唯一、ロシアの親に批判的なのが、子どもへの予防接種を嫌がる親の多いこと。ロシア・ママの中には、子どもの身体に過度な負担をかけない方が良いという考えを支持する人が多い。
6. 妊婦の体重と健康食
マイアー氏によれば、妊婦が太ること、好きなだけ食べることを許されているアメリカとは異なり、ロシアでは妊婦自身も医師も、体重の増加を厳しくチェックしている。したがって、ロシア・ママが出産後すぐに体型を戻していることに不思議はない。子どもには生後6ヶ月まで母乳のみを与え、その後離乳食に切り替える。この時、正しく栄養バランスのとれた食事になっているかが入念に確認される。食事には野菜、新鮮な果物、粥、スープ、魚、カッテージチーズ、ケフィール(ケフィールを夜寝る前に飲ませることが多い)が含まれる。
7. 海が大好き
冬が長くどんよりとしていることから、どのロシア人にも「夏のレジャーに対する熱狂」があると、マイアー氏。子どもを少なくとも2週間海に連れていくのは、ロシアのどの母にとっても重要であり、時間と財布が許せば、1ヶ月、2ヶ月滞在する。海に連れていけない場合は、夏季に別荘、キャンプ場などへ子どもを連れていく。街中には滞在させない。大都市の新たなトレンドは、タイなどのアジアで「越冬」すること。
8. 父親の役割
育児に父親が積極参加するという世界のトレンドが、ロシアにも流入しつつある。マイアー氏によれば、「ロシアでは夫が妻の言うことに従うのではなく、自分で育児への参加の度合いを決めている」という。つまり、ロシア・ママは夫が何らかの具体的な義務を果たしてくれるのを待つのではなく、夫の自発的な行動を喜んでいるのである。ロシア・ママはたとえ家庭で育児に専念していても、自分の外見には気を使っている。すらりと長い脚を出したスレンダーなブロンド美女が、ブランドもののバッグを手に持ち、きれいなネイルアートをしていても、2人の子持ちだったりする。
本記事はjp.rbth.com (ロシアNOW)に掲載された元記事の編集・縮約版です。RBTH編集部(jp@rbth.com)から書面による許諾を得た場合のみコンテンツを使用・複製(コピー)する事ができます。