3月20日から21日に東京で開催された露日防衛閣僚協議の後、ショイグ国防相は南クリルに配備のロシア軍師団に関する記者団の質問に対して、「師団は6年以内にロシアの3つの構成主体内で創設される。それは、沿海地方、サハリン州、アムール州だ。創設は誰かに対するものではなく、海空からのロシア領土、国境警備に限定される」と答えた。同様のトーンで、南クリルへの地対艦ミサイル「バル」と「バスチオン」配備に関するロシアの立場も表明された。防衛は、ショイグ国防相の声明でのキーワードだ。
ロシアは遅れを取りながらも、NATOの軍事インフラが自国国境に接近していることに反応し始めた。例えば、ウクライナ危機のずっと前から始まっていたNATOとの関係悪化によって、ロシアは自国最西端のカリーニングラード州への移動式弾道ミサイル複合体「イスカンデル」配備を余儀なくされた。ロシア大統領府は、イスカンデル配備は、隣国である西方諸国での「反露的MDシステム」展開によるものだということを隠していない。
極東の国境をめぐる情勢は基本的に、ロシア西部の情勢と変わりがない。クリル諸島はロシア極東本土の防衛線として見られており、その意義は多くにおいて、地上ないし海上発射式の「反露MDシステム」からオホーツク海のロシアの戦略核軍事力を保護することと関係している。また、そのMDシステムは実質的に韓国ですでに展開されており、日本にも現れるという可能性は除外されない。このことから、南クリル諸島における地対艦ミサイル「バル」と「バスチオン」の配備が説明できる。
この立場は本質的には我々の時代でも変化を被っていない。クリル諸島での外国軍の存在は、南クリル諸島の非武装化同様、ロシア政府にとって容認し難い。おそらく、まさにそのためにプーチン大統領は昨年末、1956年の日ソ共同宣言における南クリル諸島の2島引渡しは、これら領土に対する主権引渡しを規定するものではないと発言したのだ。
この困難なテーマは、安倍首相の4月のモスクワ訪問中に審議されるだろう。諸島での共同経済活動は良いものだが、露日平和条約もまた、名前だけではなく、内容においてもふさわしくあるべきだ。