サンクトペテルブルクでのテロはロシア及び世界経済に影響を与えるか?

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サンクトペテルブルクで起きた地下鉄爆破テロ事件は、ロシア経済に影響を与えるだろうか? 多くのロシア人は、そうした問いを自身に投げかけている。なぜなら軍事行動や抗議運動、大規模なストライキ、自然災害そしてテロ行為といった様々な不可抗力の出来事は、経済状態、とりわけ、それらが起きた国々の通貨レートに影響を与えると考えられているからだ。そうした事は、2011年9月11日に米国で起きた同時多発テロを思い出せば十分だ。当時その後ドルは、すぐに急落した。しかしこのドル下落は、短期間のことだった。専門家らは、世界経済は、テロの脅威を甘んじて受け入れ、投資家達も自分達の融資プログラムへのリスクを予め見込んでいると見ている。

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ここでまた一つの問いが生ずる。テロは観光客の減少をもたらすのではないかという問いだ。2015年11月パリで、そして今年3月ロンドンでテロが起きた後、多くの人達が、観光客が激減するのではないかと予想した。しかし、そうした事は起きなかった。2016年上半期、あべこべにフランスでは、観光客の本質的増加が見られている。ロンドンでも、観光客の激減はなかった。

ではロシアはどうか? ロシア・ツアーオペレーター協会のエグゼクティブディレクター、マイヤ・ロミゼ氏は、スプートニク日本記者の取材に対し「今のところ、外国人そしてロシア人旅行客どちらからも、キャンセルの連絡はない。彼らの大部分は5月の連休に旅行を計画している」と伝え、次のように続けた-
「今後事態が、どう進展してゆくのか見てみる必要がある。もしさらに何かが起こるなら、旅行・観光業市場には深刻な影響が出る。外国人はこうした出来事に対し、ロシア人よりショックを受けるため、おそらく売り上げは鈍化し、キャンセルも起こるだろう。しかし現時点では、キャンセルはない。」

事件後、ルーブル・レートの急落も起こらなかった。反対に、これまでないほどルーブル高となった。今年初めに比べ4,1%上がり、現在平均して1ドル=56,0 ~56,5ルーブルの水準で推移している。この数字は、2015年7月以来最高だ。とはいえ原油の世界価格が、ルーブルの為替レートで、主要な役割を演じているとはいいがたい。ルーブル高は、非居住者の側からのロシアの金融資産に対する関心が高まっていることを背景にしたものだ。3月末、ロシア中央銀行は昨年9月以来の利下げを発表し、金利を9,75%までわずかに下げたが、ロシアにおける金利は高いままで、キャリートレード操作のためにルーブルを用いることは利益がある。ブルームバーグ通信のデータによれば、為替トレーダーは、ルーブルに投資することで10%以上の利益を得ている。

こうした見方については「アルィパリ」社の主任アナリスト、アンナ・ボドロワ氏も同意している。スプートニク記者のインタビューの中で、彼女は次のように述べた-

「ロシアの通貨ルーブルの動きに、このところ影響を与えてきたのは、投機的な資本の流入だ。今年第一4半期、ルーブルは、世界の投資家達に約11%の収益を与え、それによって急速に利益が増える最も魅力的な資産の一つであり続けた。もう一つ、原油要因でなくルーブルを支えるものになったのは、2017年第一4半期末の市場において、輸出による外貨収入がかなりのものとなった事だ。そしてそれ以外に、さらにもうひとつ、ルーブルを支えた一見すぐには分からないファクターがある。それは、外貨に対するロシア人の需要が低かったことだ。外国旅行に対するロシア人の関心が落ち込んだことから、ある人々は、自分のためにドルやユーロを買う必要がないと考えている。外国旅行は、外貨購入を刺激するものである。また別の人達には、そもそもそうした資金がない。そして第三の人々は、自分の貯金を安全な通貨に分割する必要がないと考えるほどに、ロシア経済にストレスを感じず安心している。」

安全な資産に対する需要が増えていることを背景に、日本円の対ドル・レートも上がっている。ロイター通信は、野村インターナショナルの後藤祐二郎シニアFXストラテジスト(ロンドン在勤)の発言を引用し「ロシアでは悲劇が起きた。フランスでの大統領候補者討論会そして来るべき選挙を前に、ヘッジ目的で円買いが起きるかもしれない」と報じた。その際、ルーブルにとってもまた円にとっても同じく、市場価値が若干弱まるリスクがある。それは世界、特に中国における経済成長の鈍化によるものだ。。そしてFRS(米国の連邦準備制度;)の金融引き締め政策の強化もある。後者は、ドル建て資産の魅力を高め、日本やロシアを含めた他の先進国及び新興国市場からの資本の流出を呼び起こすかもしれない。

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