米国のシリア攻撃は、安倍首相のモスクワ訪問を単なる形式的なものに変えてしまう?

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安倍首相 - Sputnik 日本
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米国のティラーソン国務長官の初のモスクワ訪問は、米国によるシリアへのミサイル攻撃のあと生じた露米関係の危機が、今後も深まってゆくだろうことを証拠立てるものになった。

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ロシアのイーゴリ・イワノフ前外務大臣は、ティラーソン国務長官とラヴロフ外相との会談を前に「最高レベルでの露米会談を開けたことだけで、会談は成功したと言える」と述べた。 しかし、ペスコフ大統領報道官によれば、6月のG20首脳会合の際か、それより前に露米大統領会談を開きたいとの発言は一言もなかったとの事だ。一方、ティラーソン国務長官とラヴロフ外相との会談を総括する記者会見では、両国の間に、議事のあらゆる項目に関して、克服できない意見の相違とは言えないまでも、原則的な立場の食い違いがある事が示された。そうした条件のもとでは、今のところリーダーには何も言えないことは明らかだ。

トランプ大統領は4月11日、G7における自分のパートナー及び他の同盟国の名のもとに、プーチン大統領に対し、シリアのアサド政権を支持しないよう強く求めた。ロシアとの関係に対する批判の嵐を克服したいトランプ大統領にとって、こうした最後通牒を消してしまうことはできない、そして、まず何よりも大統領は、中東の主要な同盟国であるサウジアラビアやイスラエルの要請に応えている。これらの国々は、シリアのアサド大統領が内戦に勝利することで、この地域でのイランの役割が増大する事を極めて危惧している。親イラン的なヒズボラの部隊が強化されることになっても、あるいは現代アラブ史において初めて戦闘能力のある存在として自らの存在感を示したアサド政府軍が強化されることになっても、どちらでも同じことである。

プーチン大統領 トランプ政権への信頼レベルは低下 - Sputnik 日本
プーチン大統領 トランプ政権への信頼レベルは低下
しかしこの事は、シリア紛争の7年間を通じて取って来た政治方針を、ロシアが放棄しなければならないことを意味する。方針の本質は、まず第一に、自分達の領内そして中央アジアの同盟国の国境に近づきつつある国際テロリズムとの戦いは必要不可欠だと、ロシアがみなしていることにある。第二にロシアは、イラクでそうであったように、あるいは欧州やアジアの一連の国々であったような所謂「カラー革命」のような、外からの侵略による体制転覆に断固反対しているからだ。トランプ大統領は、自分の行動による答えとして、ロシア-イラン-シリア三国の絆の強化、そして事実上のロシア-イラン同盟という結果を手にしつつある。

4月9日、プーチン大統領とイランのロウハニ大統領は、電話会談し、その中で双方は、テロリストらとの戦いにおいて二国間協力を深める必要性を指摘した。これに続いてロシアとイランの間では、国防大臣、総参謀長、安全保障会議書記どうしの電話会談も行われた。4月14日、モスクワでは、ロシア-イラン-シリア外相会談も開かれる。

事態のこうした急激な転換は、プーチン大統領が、シリア問題をめぐり米国と対立する用意のある事の証である。これは、シリアにおける対決のシナリオが繰り返されるだろうとのプーチン大統領の皮肉な発言からも出てくる。おまけに、ロシアが大統領選挙を来年春に控えている事を考えるなら、シナリオはかなり厳しいものになるかもしれない。

その一方で、ロシアとの関係正常化を目指しているような米国の同盟諸国にとっても状況は、複雑かつ困難なものとなっている。まず何といっても、それは日本だ。彼らは、クレムリン宛の「G7の最後通牒」に加わり、国連安全保障理事会に米国が提出した決議案にロシアが拒否権を行使したことを非難した。菅官房長官は、13日午前の記者会見で「安保理として一致したメッセージを発出できなかったことは極めて遺憾だ。化学兵器の使用はいかなる場合でも許されるものではなく、真相究明に国際社会と連携したい」と述べた。

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こうした日本の立場は、全く予見可能なものである。しかし露日交渉のコンテキストにおいて、日本は自らの対ロシア政策に関し、どのくらい独立した外交的立場が取れるのかという疑問が再び生じている。昨年12月の日本訪問前、プーチン大統領は、読売新聞のインタビューに応え、そうした問題を提起し、次のように述べた-「つまり、日本には同盟国としての何らかの義務があるという事だ。我々は、それには尊敬を持って対処するが、我々は、日本が持つ自由がどれくらいのものか、日本自身がその事に対しどれだけの用意ができているのか理解する必要がある。その事をよく考える必要がある。この問題は、二義的な性格を持ったものではない」。

この問題がすぐに解決できるものでない事は明らかだ。しかし今の条件下での4月末の安倍首相のモスクワ訪問は、最高レベルでのコンタクト・スケジュールのすべてが、何よりも、単なる形式的なものになってしまう可能性がある。

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