フランスのみならず世界に大きな影響を与えるこの選挙の行方について、スプートニクは3人の専門家から意見を聞いた。雑誌「エクスペルト」国際政治部記者のゲヴォルグ・ミルザヤン氏は、「決選投票はマクロン氏が優位」だとしながらも、ルペン氏にもチャンスがあると話す。
ミルザヤン氏「フィオン氏が自身の敗北後、マクロン氏を公に支持したことは、マクロン氏にとって成功でした。フィオン氏はマクロン氏を激しく非難していたので、マクロン氏支持に回るかどうかは専門家の間でも見解が分かれていたのです。しかしルペン氏にも、ある程度チャンスがあります。第一に、フィオン氏に投票した人々が、フィオン氏個人がマクロン氏支持を表明したからと言って、それに従うとは限りません。第二に、メランション氏を支持した左派がどう振舞うかわかりません。もちろん彼らは左派なので思想からすればマクロン氏を支持するのが普通ですが、彼らはラディカルな人々であり、ルペン氏支持に回らないとも限りません。二つの急進勢力の結合を目にすることになれば、大変おもしろいですね。ルペン氏の支持層は動員力が高いです。一方、今回フィオン氏やメランション氏を支持した人の中で、マクロン氏支持にまわる可能性のある層は、単に選挙に行かないかもしれません。選挙というのは事前の支持率が高い人が勝つのではなく、自分に入れてくれる選挙人を投票所に連れて来れた人が勝つのですから」
フランスの専門家で、ロシア戦略研究所ヨーロッパ北大西洋防衛研究センター・シニア研究員のナジェージダ・ウズノワ氏は「第一回投票を終え、巨大政党の危機が来たとわかった」と話す。現職のオランド大統領が率いる社会党は、マクロン氏支持に回ったが、ウズノワ氏は社会党の内情は単純ではないと指摘する。
愛国者の国際連帯の立場から、国民戦線と友好関係にある「一水会」の木村三浩代表は、ルペン氏を支持し、彼女の立場を理解していると話す。
木村氏「国民戦線はメディアでは極右と言われていますが、共産党や社会党のメンバーも国民戦線に合流し、国民政党としての支持が広がっています。国民戦線が国民政党に脱皮したのは、現在の政治状況と、ルペン氏のカリスマ性によるものです。優秀なスタッフにも恵まれ、大統領選では減税や福祉を含む144項目の公約を掲げています。今のフランスは『フランスではない状況』が風景として目に見えてしまっています。フランスは自由、平等、博愛の国ですが、それを逆手にとって、今までフランスの発展に尽くしてこなかった人がその恩恵だけを享受しようとしているわけです。ルペン氏は難民を排斥しようとしているのではありません。年間一万人の政治難民を受け入れようというのが彼女の政策であり、フランスにいるのならばフランスに貢献してほしい、と主張しているのです」