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カッシーニは、土星の大気から約3千キロの場所を通過し「土星の輪」に約3百キロまで近づき、くぐり抜けたという。
カッシーニは、高さ約7メートル、幅約4メートル、重量約6トンの大型探査機で、1997年10月15日に米フロリダ州ケープカナベラル空軍基地から打ち上げられ、2004年6月に土星上空に到達した。そのさい新たな衛星を発見したばかりでなく、すでに知られていた衛星タイタンに小型探査機を着陸させ、そこに川や海がある事を発見した。また衛星エンケラドスについては、氷の下に海が存在し微生物が存在する可能性がある事を突き止めた。
AFP通信によれは、計画の責任者をつとめる米ジェット推進研究所(JPL)のアール・メイズ(Earl Maize)氏は「かつてこれほど土星に接近した探査機は他になかった。土星とその輪の間の空間の状態については、集められた情報に基づく予測に頼るしかなかった。カッシーニがこの空間を通過し、問題なく無事に向こう側から姿を現したことを報告できてうれしい」と語った。
今後カッシーニは、土星の輪を22回探査し、9月15日に土星の大気圏に突入し任務を終える。
今後カッシーニは、土星の輪を22回探査し、9月15日に土星の大気圏に突入し任務を終える。
土星の大気圏の最上部と土星の輪との間の空間は、幅が約2400キロある。
土星の輪を構成する氷片や岩のかけらなどは高速で移動しており、これらに衝突すると探査機が故障する危険性がある。それでも今回、土星に対して時速約12万キロの高速で飛行し、接近通過を果たした。
カッシーニは現在、燃料が底を突きつつあるが、科学者らは土星の衛星の1つに損傷を与えるリスクを避け、探査ミッションの終了を決断。土星とその輪の間を通過する探査を計22回実行した後、9月にガス状巨大惑星の土星に突入して燃え尽きる計画を立てた。土星の衛星には表面を覆う氷の下に海を持つものがあり、将来的にこの海で生命の兆候の探査が行われる可能性がある。
次回の接近通過は5月2日に予定されている。