スプートニク日本
メドベージェワ選手の成功の裏には彼女に一心同体でつきそうエテリ・トゥトベリッゼ監督の姿がある。トゥトベリッゼ監督についてはメドベージェワさんはスプートニクの独占インタビューの中で「家族以上に長い時間を共に過ごす人」とかけがえのない存在であることを明かしている。
そのトゥトベリッゼ監督はR-スポーツ紙からのインタビューのなかで、メドベージェワ選手へ施すトレーニングの特殊性を語るとともに、彼女には公の場所では自分のライバル選手の演技に対する評価を下すことは許していないことを打ち明けた。
トゥトベリッゼ監督「この子は課題を受け取り、それをこなすという意味では一番見事に躾けられたスポーツマンです。だからといってジェーニャ(メドベージェワ選手の名前、エフゲニアの愛称)は自分に『なんのために』『これは本当に正しいことなのかしら』という問いを投げかけないということではありません。
ただジェーニャにはまさに私の言っていることである正しいご両親が揃っているのです。ご両親は彼女にしかるべき余暇をつくってやり、きつい時には生産的にトレーニングできる生活環境を整えてあげています。
たとえばスタートから帰ってきて、疲労感を抱えていても座り込んで『ああ、疲れた』と考えこんではなりません。自分の中に力を探さねばならないんです。これにお母さん、おばあさんが取り組んでくださり、ある時は厳し諭して、ある時は支えてやる。こんなふうな私たちみんなの努力でジェーニャは自分のなかにポテンシャル見つけ、またがんばってトレーニングが開始できるのです。
つまりちょうどコーチと親御さんの間にボールの跳ね返りのようなものができ、その間にスポーツ選手は存在しています。ですからそこから外へ抜けだす穴を見つけることはできないんです。
誰かのことをバッシングしたりしはじめると、私はいやだなと思います。スポーツマンにはライバルを敬うことを教えています。自分のライバルのレベルまで誰かが成長したならば、その人はライバルに負けないくらい練習したのです。そしてライバルのことを批評してはなりません。あるときジェーニャにテレビを見て、ライバル選手の滑りをコメントしないように禁じたことがありました。今活躍している選手は他の選手のことは批評してはならないのです。」
練習に練習を重ね、大きなプレッシャーのなかでリンクに出て行き、一度限りの演技をするスポーツ選手はよほどの精神鍛錬ができていなければ簡単に押しつぶされてしまう。まして、メドベージェワさんのように飛ぶ鳥を落とす勢いで成果を挙げている選手ともなれば、成功に酔って自分を見失ったり、逆に失敗を恐れて精神不安定になることも稀ではない。トゥトベリッゼ監督の賢い指導法でこれだけの万人に好かれる、すばらしい才能が育ったといえないだろうか。