日本ではまだ馴染みのないロシアの食品が日本で買えるようになったのは何故だろうか。マクファの日本における輸入総代理店、EMSインターナショナルトレーディング株式会社の作田絵里(さくた・えり)代表取締役に話を聞いた。
作田氏「始まりは、マクファからの思いがけない一本の電話でした。そこから商談を重ねて契約を結び、2016年10月から輸入・販売を開始したのです。契約に至った一番のポイントは、マクファが扱っている商品が全て、ハラル認証を取っているということです。もともとチュニジア産のハラル食品を中心に取り扱っていたので、私たちが扱っている商材と合致する、ということで販売の決断に至りました」
ロシア国民の10人に1人はイスラム教徒だといわれており、街中の市場など至るところにハラル食品の店や専門の精肉店がある。イスラム圏である中央アジアからの出稼ぎ者も多く、ロシア企業は一足先にハラル認証に目をつけていたのだ。ムスリムの多いマレーシアやインドネシアからの旅行者の増加や2020年の東京五輪もあり、日本におけるハラル認証食品への需要は高まっている。
全粒粉パスタ、メガプロテインパスタ、子ども向けキッズパスタといった数あるマクファの商品の中でも、特に注目を集めているのが「そばの実」である。日本ではそばと言えば麺にして食べるのが普通だが、ロシアでは穀物として、パンやご飯やジャガイモなどと同列に考えられている。90年代初頭の経済危機下にあってもロシア国民の胃袋を支えてきた、まさに国民食ともいうべきものだ。そばの実にはビタミンB類、たんぱく質、食物繊維が多く含まれているほか、動脈硬化予防や毛細血管の強化に役立つ成分「ルチン」も豊富に含まれている。今のところ日本にはそばの実を食べる食文化はあまりないものの、消費者の健康志向と相まって、市場は今後拡大していくと思われる。
すでにマクファの製品は中国や東南アジアにも輸出されているが、日本での販売開始はアジア地域におけるマクファの信用度を一層高めることになった。マクファの輸出部門発展の責任者、エレーナ・カルマノワさんは、マクファのそばの実は高品質を求める日本の消費者の信頼を得られるだろうと期待を示している。
カルマノワさん「マクファのそばの実は、すべてアルタイ産です。ロシアで一番美味しくて最も栄養価の高いそばは、アルタイで栽培されています。そばの実は栄養面でメリットがあるだけでなく、調理が簡単です。わが社のそばの実が日本の消費者の皆さんのハートに届くことを願っています」
しかし調理が簡単だといわれても読者のみなさんはお困りになるだろう。そこで筆者はロシア人スタッフに依頼し「純ロシア風・そばの実レシピ5選」をもらった。そばに牛乳!?などと信じがたいレシピもあるが、麺のそばとは全く別物だと思って試してもらえれば幸いだ。