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日本はおそらく、初めてこのような状況、つまり中東のエネルギー大国が重大な脅威にさらされているという状況に直面している。以前は、戦争も紛争もあったが、石油はタンカーに計画通り積み込まれていた。しかし今では、全ての地域で、状況が大きく変化している。つい最近まで、戦争はイラクやリビア、シリアといった、アラブ世界の外周で起きていた。しかし戦争は、地域的にも、政治的にも、アラブ世界の中心部、つまりは同時にイスラム教徒の世界の中心部に忍び寄っている。2016年、サウジアラビアではカティーフ、ジッダ、また預言者のモスクがあるマディーナでさえもテロが発生した。2014年からシリアとイラクでは、つまりサウジアラビアの北の国境付近で戦争が起きている。また2014年からやはり、サウジアラビア軍が参加している戦争がイエメンで、つまりサウジアラビアの南の国境付近で起きている。
アラビア半島というのは、日本が石油輸入の約75パーセント、液化天然ガスの約24パーセントを依存している地域であるが、現在そこは段階的に、戦火の輪が広がっている場所でもある。中東地域におけるある地域的な武力衝突が、地域全体を巻き込む大きな闘争、つまりは戦争にまで発展してしまうのではないかという予想は、ありえる話であるし、そうなれば石油とガスはいの一番に、敵国を攻撃し、損害を与えるための手段になるだろう。
アラブ首長国連邦のアンワール・ガルガーシュ外務担当国務大臣は、カタールの隣国からの国交断絶は、数年間続くかもしれないという見解を示している。
このことは日本に、国内のエネルギー需要をどう満たしていくかという難しい問題を突きつけることになる。天然ガスに関して言えば、状況はそこまで危機的というわけではない。というのは供給元はマレーシアやインドネシア、オーストラリアなど、複数国にわたっているからだ。しかし石油をめぐる状況は深刻だ。日本には一日に380万バレルの石油が運ばれている。これは年間で1億8千540万トンの計算になる。世界の原油市場を考慮すると、(2016年、1日あたりの販売量は9千440万バレルに及んだ)数字は大きくないように思われる。しかし中東における戦争がコントロール下からはずれ、ペルシャ湾の諸国の国々からの石油輸出がストップしたとすると、世界の市場において1日あたり1200万から1500万バレルがなくなる計算になる。このような規模で石油が足りなくなれば、競争は激しくなり、価格は高騰する。日本を含むと思われる、経済状況が輸入によって左右される国にとってみれば、競争激化と価格上昇は非常に不愉快でストレスを生むファクターとなる。そしてそのような石油高騰時代は数年間続くことになる。なぜならば他の全ての石油輸出国がともに力を合わせて石油を採掘したとしても、この規模のマイナスを埋めることはできないからである。
代替手段については事前に考えたほうがよい。もし中東における危機が一層強まれば、それに反応しようとしても、もしかすると時すでに遅し、ということになるかもしれない。