日本のインターネットでは、この結果は安倍政権にとって大きな問題を及ぼすという意見が盛んに議論されている。なぜなら東京の選挙の結果は国中の選挙結果に影響を与えると考えられているからだ。2009年、都議選で38議席しかとれなかった自民党は国政選挙でも大敗した。なぜ東京都民は、実質的に新しく出来た党、都民ファーストに票を投じたのか?
もしかするとそれば、選挙民が自民党に疲れたのかもしれない。衆参両院で過半数を維持する安倍政権は野党の意見をほとんど無視しているので、これが野党だけでなく社会全体の反感をかっている。議論を呼んだ共謀罪の根拠がはっきりしていないということも原因かもしれない。
また、もし報道や野党の言うことを信じるなら、安倍政権が、最低でも2つのプロジェクトを、自身の友人知人が有利になるように口利きしていたというスキャンダルも関係があるかもしれない。
かつて自身も自民党で、防衛大臣を務めた小池百合子東京都知事は自民党と対立する立場になった。自民党に籍を置いていたので、都知事選出馬の際には大いに圧力をかけられたが、それでも知事の座を射止めた。小池知事は自民党を離れ、都民ファーストの会を結成。エネルギッシュな小池知事は将来の総理候補といわれている。
このことが安倍政権に何をもたらすのかはまだ明らかではない。安倍首相は任期前に辞任することはまずないだろうが、2018年秋までにある総選挙に向けて、自民党の内外のライバルがその座をねらうだろう。
極東研究所日本センター上級研究員のビクトル・パブリャチェンコ氏は、この状況を劇的なものと捉える必要はないとし、スプートニクの取材に対し次のように述べた。
パブリャチェンコ氏の意見によれば、安倍首相は現状をやりすごすとみている。安倍氏は2021年まで自民党総裁としての政治生命を伸ばすだろう。ロシアにとってこれはおそらく、どちらかといえば良いだろう。安倍首相はロシア政府との良い関係を保つことに尽力し、産業界にロシアに目を向けるよう呼びかけた。そして彼はついに日露間で平和条約を結びたいと考えている。もし安倍氏が現在の地位から去れば、また日本政府はこの問題を長きにわたって後に残すことになるだろう。