スプートニク日本
これらの特徴を鑑みれば、米軍は奇跡的な兵器を手に入れたことになる。そこでスプートニクは、ロシアの軍事専門家コンスタンチン・シヴコフ氏に、LaWSの評価について意見を仰いだ。シヴコフ氏は「私の見立てでは、これを戦闘に用いるには非常に制限がある」と指摘する。
シヴコフ氏「まず何よりも、かなり近い距離でないと、実戦には使えない。1.5~3キロくらいの間で、しかも良い天気のときだけだ。わずかなモヤがかかっているだけでも、レーザー兵器は効果を失うだろう。つまり防衛のためには、限定された条件が揃わなければ、効果的ではないということだ」
米軍人たちは、この攻撃は電磁スペクトルの目に見えない部分で応用されているので、光線は目に見えないし音もしない、ということを主な利点の一つに挙げている。照準を自分達で合わせる必要もない。ということはレーザー兵器のメリットというのはやはりあるのだろうか。
シヴコフ氏「無音性については、PRのために話しているのだろう。戦闘において誰が静けさを求めているというのだ?レーザー兵器の主な利点というのは、軍艦の中に、破裂するかもしれない物質を置いておかなくてよいということだ。一回の射撃にかかる費用も大きくない。しかし、もう一点、本質的な強みがある。弾薬定量にほとんど制限がないことだ。しかし、私が予想するには、レーザー兵器は、既に有している対空兵器を保管する役割でしかないと思う。集中的な対空攻撃を加えようと思ったら150から200キロの射程が必要だが、レーザー兵器は近距離しか撃たない」
トランプ米大統領は、歴史的な軍事費の増大を指摘している。米国の2018年予算では防衛費が540億ドル増加した。(これは現在の防衛予算の10パーセント増にあたる)しかし米国軍人はレーザー兵器の節約性と手入れの簡単さを何よりも評価している。ヒューズ大尉は、レーザー兵器実験にかかった金額を、一回の発射についき1米ドルであると算定した。
もし1米ドルが米軍にとってすばらしい効果をもたらすならば、なぜ軍備にそこまでお金をかける必要があるのか?米国の納税者には、まさにこのような素朴な、しかし十分に論理的な疑問がわいてくるかもしれない。