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なお2012年に北朝鮮を訪問した外国人はわずか4500人、2014年はその3分の1だった。なお最近、北朝鮮の朝鮮民主主義人民共和国国家観光総局の情報サイトには、これまでのコリア語、中国語、英語、ロシア語に加えて日本語のページが増えた。
一方、北朝鮮のイメージは世界でもあまり魅力的なものではなく、北朝鮮を旅行中に逮捕され、深刻な病気になり、その後、帰国した米国で死亡した米国人大学生オットー・ワームさんの出来事は、大きな反響と非難を呼んだ。
しかし、北朝鮮は常に旅行者にとって最も危険な国のリストに入っているものの、北朝鮮は他の国にはないそのユニークさで大勢の人々を惹きつけている。
北朝鮮を訪れたことのあるロシア人旅行者たちによると、入念な税関検査やたくさんの禁止事項があるものの、旅行の印象を言葉で言い表すことはできず、北朝鮮は雄大な自然を背景にした全体主義的社会主義の真の保護区だという。
北朝鮮観光には美術館や博物館、名所の観光だけでなく、海や山のリゾートでの休暇、泥浴療法、コリア語や舞踊のレッスン、ゴルフ旅行、ラフティング、結婚式、登山や狩猟などもある。
北朝鮮旅行を取り扱っている旅行会社「アトクリーチエ」のワシーリー・レベデフ責任者は、通信社「スプートニク」のインタビューで「北朝鮮は外貨を非常に必要としているため、旅行のためのあらゆる環境づくりに努めている」と語った。
レベデフ氏によると、ロシア人旅行者の関心は、「ソ連時代にあったものを今は北朝鮮でしか見ることができない」ということに関連している。レベデフ氏は、次のように語っている-「我々の会社は、年に平均100人を北朝鮮に送っている。この数は安定しており、もう数年間変わっていない。もちろん地理的に近いため、極東から北朝鮮を訪れるのが最も多く、頻繁だ。特に彼らにとってビザが必要ない羅先(ラソン)経済特区に行く人が多い。ロシアや中国からの旅行者は、日本海のきれいなビーチで過ごすために、週末に北朝鮮を訪れる。なぜロシア人は北朝鮮を訪れるのか?それは主に、体験するためだ。なぜなら旅行を真に愛する人たちは、快適さを求めるのではなく、他では見ることのできない本物のものや、珍しいものを見るために出かけるからだ。彼らはそのような印象を北朝鮮で完全に受け取ることができる。北朝鮮はユニークな国で、他の国にはないものがある。さらに一般の北朝鮮の人々は好意的で、少しナイーブだ。彼らは、世界で自分たちの国が攻撃的な国であると考えられていることさえも知らない」。
スプートニク:北朝鮮のホテルで壁に貼られていたポスターを剥がして収監され、昏睡状態で帰国した米国人大学生の出来事に旅行者たちは怯えませんでしたか?
レベデフ氏:いいえ、この出来事が旅行者を怖がらせることはありませんでした。これは彼の過ちです。恐らく彼には警告されていたはずです。彼は、ただ記念にポスターを剥がしたのではなく、それを破ったか、あるいは侮辱したのではないかと思います。ポスターには、朝鮮の人たちが特別な敬意を抱いている人々が描かれていた可能性があります。もしかしたら彼は酔っぱらっており、自覚していなかったのかもしれません。彼には、一般的に東洋でみられるような最大限のおもてなしが提供されたのに、彼は彼らの心に「唾を吐いた」のです。なぜならポスターや絵画、彫刻などの大きいものも小さいものも、北朝鮮では割りと安価で買うことができるからです。事件があったそのホテルでも買えるのです。さらに非常に独創的で、極めて高価な芸術的価値があります。中国人がこれらを求めてわざわざ北朝鮮にやって来るのには理由があるのです。
旅行会社「アトクリーチエ」は、北朝鮮を訪れる旅行者への注意事項として、「旅行者の移動の自由は制限されているため、いかなる都市も1人で歩くべきではない。あらゆる施設の撮影が禁止されており、遠く離れた防衛関連の施設も同じだ。プロパガンダの文学作品や、北朝鮮または韓国に関する外国の出版社の書籍、ポルノを北朝鮮へ持ち込むことは禁止されている」などと伝えている。
ロシア人の間では近年、北朝鮮の祝日に関連したテーマ旅行が人気だ。この後の最も近い祝日は、日本の支配から解放された8月15日の「祖国解放記念日」だ。この日、北朝鮮全土で様々な祝賀行事が開かれ、首都・平壌(ピョンヤン)のメイン広場の一つでは、大勢の人々が集まって踊る。
また外国人に対して年間わずか数日しか開放されていない朝鮮人民軍の軍用車両の展示ホールを見学できるのも同ツアーしかない。同博物館には、皆さんも見たことがあるかもしれない軍用車両が最も数多く展示されている。