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政治学者のウラジーミル・エフセエフ氏は、中国はシリア危機の平和的解決の可能性を感じとったとの見方を示し、そのため中国は同プロセスに政治的にも経済的にも積極的に関与し始めたとの考えを表し、次のように語っている-
「シリアは中東の中心地だ。そのため中国はずいぶん前からこの国に入ってきている。非常に真剣に石油・ガスの野心を抱いている。なぜならシリアは地域の全ての国への出口だからだ。それは道路、石油産業、わずかな農業だ。中国人はすでに投資する用意があることを表明した」。
ロシアとは異なり、中国にはそのために必要なすべてのリソースがある。ロシアの主な切り札はその軍事プレゼンスだ。ロシアは「汚い仕事」と呼ばれるものを全て行ったが、経済的利益は他の国が獲得するということになりはしないだろうか?中国などの国が?
「高等経済学院」政治学講座の上級講師でアラブの専門家のレオニード・イサエフ氏は「シリアに平和的生活が浸透すればするほど、ロシアのファクターの弱まりがより顕著になるのは明白だ」と考え、次のように語っている-
「実際のところ中国はシリアでロシアと協力する用意があまりない。だからといってこの状況の中で中国と競合するのは困難だ。ロシアがどこの国よりも優れているのは、原子力エネルギー、武器供給、宇宙、油田の探査や採掘などの分野だ。だが今シリアに原子力発電所を建設しようとする者は誰もおらず、シリアは今、人工衛星どころの話でもない。シリアの人々にまず必要なのはインフラの復興であり、彼らには技術が必要なのだ」。
「イランとトルコ、カタールとサウジアラビアは、すでにロシアの好意を得るために互いに競争し始めた。もちろんロシアは現在、影響力をめぐって米国と競い合う状況にはない。だが何かを始めなければならない」。
シリアの平和的復興で決め手となるのは何か?ミルザヤン氏は「まずはロシアとイランの立場だ」との確信を示し、次のように語っている-
「中国は非常に積極的にイランへ投資しており、また中国はロシアとの非常に緊密な政治的関係を有している。一方、シリア復興には1兆ドルが必要だ。欧州は資金を出さない。あるいは出したとしても、独自の一定の条件を提示するだろう」。
だが中国はそのような条件を出さない。シリアにとっての中国の魅力はここにある。ミルザヤン氏はこのように指摘している。この状況の中でロシアにとってより重要なのは、すでに獲得した地域での政治的利点を維持し、強化することだ。だが、投資の可能性も排除されてはいない。