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元駐日大使のアレクサンドル・パノフ氏は「沖縄のこの状況は伝統的にさえなってしまっている。米軍基地がある限り、この状況はずっと続いていくだろう」と話す。世界経済・国際関係調査研究所で日本政治経済研究部門長を務めるビタリー・シヴィドゥコ氏も「この話に終わりを見出すことができない」と同調する。
シヴィドゥコ氏「訴訟合戦は相互とも大変消耗する戦いであり、もちろん疲労度が高いのは沖縄の方です。沖縄の人は、『我々は他県の日本人よりも苦しんでいるのだから、もっと公正さを求める権利がある』と信じています。ですからどれだけ疲れても、あらゆる切り口で訴訟に持ち込めるのです」
沖縄県の翁長雄志知事は、今回の訴訟で敗訴したとしても更なる法的手段に訴える覚悟だが、一部に「疲労」が見えているのも事実だ。今年、県内で行われた3つの市長選で、翁長知事を支持する勢力「オール沖縄」が支援した候補は、いずれも敗北した。そして来年2月には名護市長選があり、辺野古移設に反対する現職の稲嶺進市長と、移設容認派の名護市議、渡具知武豊氏が直接対決する見込みだ。
工事差し止めには、辺野古埋め立てのための土砂を提供しないという方法もある。全国の港湾労働者で組織されている「全国港湾労働組合連合会(全国港湾)」は、辺野古の基地建設工事は違法行為であり、その違法行為に加担する土砂の搬出入作業を事業社が引き受けないよう、日本港運協会に対して申し入れている。全国港湾の玉田雅也書記長は言う。
玉田氏「土砂を運ぶのは港湾労働者の仕事です。彼らを違法性がある仕事に加担させることはできません。それは沖縄の仲間に負担を強いることにもなりますし、より長期的に見れば、基地作り=戦争に協力した、ということになります。一般的に港というのは戦争が始まれば補給基地となり、前線に武器や食料を送ることになります。補給基地を叩けというのは戦争の常識です。そうすると港湾労働者は、兵隊でもないのに最初に犠牲になります。これは非常に切実な問題です。また言葉を変えれば、港湾労働者は一番に、戦争に協力をしなければいけなくなるわけです。沖縄に港湾労働者はたくさんいますが、彼らは常にそういったプレッシャーを感じながら仕事をしているのです」
玉田氏はまた、戦前「一港一社制」により港と港湾労働者が軍事的にフルに活用された経験があるだけに、200年も耐用年数があると言われている新基地を作って、更に沖縄の仲間を犠牲にし痛みを押し付けることはできない、と述べている。