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19人の閣僚のうち、留任したのはわずか5人だけ。その中には、ロシアとの経済協力の責任者、世耕弘成経済産業大臣の名前もある。ロシア科学アカデミー・極東研究所日本研究センターのワレリー・キスタノフ所長は、世耕氏の留任は、今回の内閣改造の中でロシアにとって最も大事だという見解を示した。
キスタノフ氏「このことは世耕氏が、安倍氏が要求した課題を実行していることの証明だ。この1年、世耕氏の目的は、安倍氏が2016年5月に発表した『ロシアに対する新しいアプローチ』を実現することだった。今、両首脳が合意した南クリルにおける共同経済活動を実現するための試みが続けられている。もちろん全てが簡単にはいかないが、世耕氏はこの政策を頑張って実現するために留任されたのだろう。経済協力の発展は、領土問題の袋小路から両国間関係を引っ張り出すためのものだ。しかし、多くのことは、すでに一ヶ月後にウラジオストクで開かれる予定の東方経済フォーラムにかかっている。安倍氏もこれに参加する。両首脳は果たして、共同経済活動を始めるための法的基盤という問題を解決できるだろうか」
米国は戦後ずっと、日本の重要な同盟国のひとつであり続けている。そしてそれは、拡大する中国の脅威に対して安全を確保できる唯一の手段だ。それ以外にも、日米は北朝鮮のミサイル問題で共同で事にあたっている。キスタノフ氏は、岸田氏が外務大臣でなくなったことを説明するのは簡単だと話す。
キスタノフ氏「岸田氏にはマイナス点は一切なかった。ただ彼は官僚組織から政治分野へと移動しただけだ。安倍氏は岸田氏を自民党の政調会長にした。岸田氏はポスト安倍候補の一人。それはまあ未来の話で、彼は今のところ安倍氏の忠実な戦友だ」
キスタノフ氏はまた、外務大臣と防衛大臣の交代は、外交方針に影響を与えるものではないと推測している。しかし日露関係は米国というファクターによって干渉を受けるかもしれないと話す。
キスタノフ氏「新しい米国の対ロシア制裁のせいで露米関係は限界まで先鋭化されている。トランプ氏または米国議会は、安倍氏のロシア接近の政策や、安倍氏とプーチン大統領の個人的関係についても、認めないかもしれない」
共同通信社が3日と4日に実施した世論調査によると、新・安倍内閣の支持率は44.4パーセントだった。前回7月の調査より8.6パーセント上昇した。内閣改造と自民党役員人事を「評価する」としたのは45.5%で、「評価しない」は39.6%だった。産経新聞によると早稲田大学の田中愛治教授は、「閣僚経験者ら手堅いベテランを多く配し、自民党内の非主流派も登用してバランスに気を使っているのはよく分かる」と布陣を評価する一方、「それらは永田町の論理で、国民目線が欠けている」と指摘したという。また読売新聞は、小池百合子東京都知事が講演の中で、「スキャンダルをリデュース(削減)する、もう一回閣僚経験者にがんばってもらうリユース(再利用)、ちょっとリフレッシュするということで『3R』といったところ」」と述べ、新内閣を循環型社会を目指す標語である「3R」(リデュース、リユース、リサイクル)になぞらえたことを報じた。