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江崎大臣の発言は毎日新聞によって報じられた。それによると、自身が選出された愛知県を訪問した際、記者団に対し「北方領土問題」については素人であると述べた。このような新米大臣による発言は、クリル問題に対する日本のアプローチの真剣さの度合いに疑いをもたらすものである。しかし元日本大使のアレクサンドル・パノフ氏は、これは特に何も驚くことではないという見解を示している。
「新人大臣は、この非常に複雑な問題の全てのニュアンスやディティールを知らない。記者たちが質問をする際は非常に詳細な質問をするわけで、全てをすぐに理解することは不可能だ。しかしこれは、領土問題の優先順位が、日露両国関係において下がったということではない」
それにしても、江崎大臣の発言は、ロシアメディアにも日本メディアにもレゾナンスを呼び起こした。領土問題における新しいアプローチを期待する意味はあるのだろうか?ロシア高等経済学院の専門家で、NHKやTBSのモスクワ支局でも勤務したことのある日本研究者、アンドレイ・フェシュン氏は次のように述べている。
「これは新しいアプローチではなく、単なる、大臣の余計な率直さだと思う。総理大臣が他の閣僚を選ぶとき、日本では、その分野の専門家であることを基準に選んではいない。これについては、真剣な研究などで言及されることもあるが、特に声高に指摘されることもない。省庁における全ての仕事は、大臣ではなくて、それ以下の人のレベルのところで切り回されている。彼らの名前は特に表に出るものでもない。しかしそうした人々こそが本当の運命の決裁者であり、彼らの決定が、最高レベルのところで検討されるというわけだ。つまり現大臣は、ただ単に真実を言ったにすぎない。彼はまだ日露関係の専門家ではないし、領土問題のプロでもない。そしてこのような段階では今しばらく、アシスタントが準備したことをやったり、秘書が準備したペーパーを読んだりすることになる」
© AFP 2023 / Toshifumi Kitamura江崎沖縄・北方担当相
江崎沖縄・北方担当相
© AFP 2023 / Toshifumi Kitamura
江崎氏は、この発言はマスコミ向けのものではなかったと弁明している。菅義偉官房長官によれば、非公式的な発言であっても記者たちに利用される恐れがあるのだから、気をつけるようにと江崎氏に注意をしたということだ。菅官房長官はまた、江崎氏の大臣辞任については考えていないということを明らかにした。
社民党の又市征治幹事長は江崎氏の発言について、コメントを発表。「地元での気が緩んだ上の謙遜とも受け取れるが、閣僚としての自覚に欠け、国会を軽視する極めて問題ある発言であり、看過できない。官僚依存の丸投げの政治に唯々諾々とするのであれば、政治家たる閣僚の存在意味はない」と江崎氏を批判し、担当閣僚としての任を果たす自信がないのであれば、いさぎよく辞任するのが国民のためだと主張した。
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