三菱自動車の工場見学inロシア【写真】

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モスクワから南西に180キロ、ロシアのカルーガ州にある「PCMA Rus」は、三菱自動車とPSAプジョー・シトロエン社とのロシア合弁車両組立工場だ。約145ヘクタールの敷地面積を有し、工場の敷地内に鉄道もある。日本から海路でエストニアのタリンに送られた自動車部品は、陸路でカルーガへやって来るのだ。

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筆者は6月下旬、自動車業界に詳しいロシアのジャーナリストたちとともに、PCMA Rusの工場見学へ出かけた。この工場で働く労働者の男女比は半々で、自動車工場としては女性比率が高い。生産ラインでの作業は、男女を問わず働けるように最大限簡単にしている。人が作業する割合と自動化ロボットが作業する割合は半々だ。新人を採用してから生産ラインに立てるようになるまで、研修に要する時間は2週間ほどだという。PCMA Rusで作られる車は、日本で組み立てられたものと全く同じ基準を満たしており、品質に差はない。

一般的にロシア人の間では、自国の製造業、とくに個人消費者向けの製品に対してあまり信頼性がない。三菱自動車のロシアにおける正規輸入販売会社「MMC Rus」のマーケティング・広報担当責任者のイリヤ・ニコノロフ氏は「かつては、ロシア人が日本車を組み立てることに対し、ロシアの消費者はかなり疑いをもっていたので、ここまでロシア製日本車を定着させるのは並大抵の苦労ではなかった」と振り返る。2010年以降、アウトランダーはシリーズを通して7万5千台以上PCMA Rusで生産されてきた。現在、アウトランダーはロシアで最も人気のある三菱車であり、ミディアムSUVセグメントの中で約11%のシェアをもっている。

© 写真 : Asuka Tokuyama工場見学
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この工場では、組み立て工程の中で万が一ミスがあったとしても、ミスをした人を責めることはない。「ミスをしたということは、そもそも工程に問題があるのかもしれない。ミスをしたと言ってくれたほうが、問題の所在がわかる」という方針で仕事をしている。アウトランダーのファンが集うサイト「アウトランダークラブ」を運営するウラジーミル・アガポフさんは、「ロシア企業ならミスをした人に罰金を課すところだ。こういうところに日本哲学を感じる」と言う。

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こんにち、ロシアに工場を構える日本企業は総じてローカリゼーションを目指している。PCMA Rusにおける三菱車の場合、2017年6月の段階で、32.8パーセント。これを年末までに36パーセントまで上げることが目下の課題だ。しかしローカリゼーションができていると言っても、ほとんどは外国メーカーの現地生産品だ。純ロシア産ということになると比率は6パーセントにぐっと落ち込む。今のところ純粋なロシア企業のサプライヤーは1社のみだ。

ここ2年間の1月から5月までのアウトランダーの売り上げを比較してみると、今年は前年比34パーセント増だった。ロシアの自動車不況は底を打ったとみられており、工場責任者は「この秋にかけてアウトランダーの生産を増やしたい」と話している。

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