武野氏はスピーチで、武野氏率いるチームが人工知能を作ろうと試みる理由と、この研究がどのように、人類の進化におけるもっとも重要な秘密を明かす助けになる可能性があるかを語った。
武野氏らは、この課題に10年以上取り組んでいる。2005年にチームは鏡のなかの自分を認識できるロボットを開発。これは、自意識の存在を調べるテストの1つで、今日ではヒトやチンパンジー、犬にマカクのみがテストをパスできる。
続いてチームは様々な感情を認識して示し、人や他のロボットの行動を真似するほか、自身で決断する能力を持つ一連のロボットを開発した。これらは全て、ヒトの思考様式と区別できない完全な知能を持つ機械開発に近づいていると武野氏は見る。
「非常に難しい問題ですが、ヒトの意識はプログラムのように想像できると考えられます。このプログラムは非常に珍しい設定がなされ、何百万年のあいだに『遺伝コード』に進化として書き込まれ、私たちが今は完全に理解できない『鉄』上でのみ機能できるのです。私たちはまさに、神経生理学者や心理学者、他の科学者と協力してこの謎を解決しようとしています。私たちは、私たちの脳と意識の類似品を作りながら、働き方を研究しています。」
「私たちの心の働き方や私たち自身の遺伝プログラムの設定のされ方を理解せずには、このような機械の行動は想像できず、それから身を守ることもできません。さらに純粋に哲学的な見地から、ヒトは自らを知ろうとします。そのため懐疑派が何を言おうとも、このような研究は常に意味と価値を持つことでしょう。」
「私はいわゆる集産主義派に属しています。これは、全ての知的なシステムはお互いに関連した多くの単純な要素からなっていると仮定するものです。私は、意識と心を得られるであろう人工ニューロンネットワークを作るものは現在すでに何もないと見ています。」
「他方で、現代のコンピューターは単純な計算を並行して行うことが苦手なため、このようなネットワーク作成は実際には非常に難しいでしょう。同時に数百・数千の簡単な作業を行え、ニューロンネットワークの作業を最大限に迅速に効果的にするような機器が必要です。」