「PornHub」の統計では北朝鮮のポルノ視聴者のお好みはアジア系女性の出演する映画で、中でも日本のポルノ女優が出演するビデオがダントツ人気。もともと「アジア」というカテゴリーでは日本人ポルノ女優の出演割合がかなり高いことから、日本人女性が北朝鮮の男性の性的想像力をかきたてる魔力を持っているということができる。私個人としてはこれはまさに、日本の侵略者との勇敢な戦いの結果構築された、北朝鮮の公式的イデオロギーの昇華であろうと思う。
さて、北朝鮮で一体誰がインターネットでポルノ映画を視聴しているのだろうか? まず浮かぶのは外国人ツーリストではないかという予測だが、これは否定せざるを得ない。なぜならば北朝鮮を旅する外国人はインターネットに自由にアクセスすることはできず(北朝鮮を訪れるロシア人はインターネットを利用するには通常、ロシア大使館に出向く)、その上外国人ツーリストには常に監視の目が光らされているからだ。
一般市民も携帯電話、スマートフォン、コンピューターを持っているが、彼らがアクセスを許されているのが北朝鮮国内に限定されたイントラネット「光明」で、ここから外国のインターネットに接続することは不可能。このことから外の世界のインターネットに接続し、そこでポルノ映画を閲覧できるのはおそらく北朝鮮エリートのみだろうと推測ができる。国際インターネットに自由に接続できるのは諜報機関の職員らも同じだ。北朝鮮ではここ数年でかなり数多くのサイトが誕生していることを見ると、そうしたサイト編集部にも外側の世界のインターネットへの自由なアクセス権があるのだろう。さらに考えられるのが、指導部のエリートは職務上も個人のユーズとしても、どうやらこうしたアクセスを持っているのではないかということだ。「PornHub」はポルノ閲覧が行われている機器のタイプ別統計も取っている。その結果、53%がデスクトップで、36%が携帯電話で、11%がタブレットで視聴していた。このことから明るみになったのは、北朝鮮エリートは有線LANのみならず、無線LAN接続も有している事実だ。おそらく政府のビルではWi-Fiが使われているものと見られる。
今回の統計発表で図らずも光のもとに晒されたのは、北朝鮮エリートの実態や有する機器、嗜好であった。まずエリートといえども人としては彼らは私たちと何も変わりなく、革命闘争だけを追い求めるガチガチの共産主義者だと思う必要などないということ。
次にわかったのが最高指導部のエリート幹部に対する監視の目が次第に弱まっているという事実。北朝鮮ではポルノグラフィーの運搬および拡散は刑法で厳格に禁じられており、最低1年間の矯正労働が科されている。にもかかわらず、エリートにはこうした自由が許されていることになる。誰がどのサイトを閲覧しているかを調べるのは技術上、そう難しいことではない。北朝鮮ではここ最近、更迭は行われておらず、しかも「風紀の退廃」を原因とするものはなかったことから察するに、最高指導部および金正恩氏個人もインターネットでポルノ映画を見ても、まぁ、仕方ないかと目をつぶっているのではあるまいか。
北朝鮮エリートのポルノサイト閲覧、ひょっとしてこれはあらゆる日本人女性をなんとしても我がものとしたい願いをかき立てる戦争への期待、軍国主義的な熱狂、ミサイル発射による多幸感からきているのではないか、と思えてしまう。