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ロシアでの日本食の人気は堅調で、モスクワだけでも千軒以上の日本食レストランがある。中でも「スシ」はすっかり浸透し、どこででも食べられる普段の料理となった。しかしその質はまちまちだ。日本人が経営する正統派日本料理店もあるが、日本人の目から見てとても日本食とは呼べないような店もある。
今年1月から日本ビザの取得要件が緩和されたことで、ロシア人訪日旅行者が急増した。彼らは日本で日本食を楽しむ中で、今まで日本食だと思っていたものが、実は(多くの場合)日本食ではなかったことに気付くのである。帰国してから「またあの味が食べたい」と思っても、店がなければどうしようもない。このような需要をふまえれば、日本の外食産業がロシアで展開できる可能井は大いにありそうだ。
ミッション参加者の一人は「ここへ来るまでは、ロシア人は食にコストをかけないのでは?と思っていましたが、全くそんなことはないとわかりました。ロシア人の嗜好性や食文化、コストパフォーマンスの概念には驚かされました。コーヒー店やハンバーガーショップも、質と値段を比べて、大衆店から高級店まで上手く使い分けています。日本ではここまで細分化されていないのではないでしょうか。値段自体が高くても、それに見合った質の良いものであれば買う、というのがロシア人の特徴だと思います」と話した。
ノボシビルスクを中心に数々のチェーン店を展開し、「シベリアのレストラン王」と呼ばれているデニス・イワノフ氏も、ミッション参加者と交流した。自身も日本の大ファンだというイワノフ氏は、日本の外食産業のロシア進出を歓迎している。
ミッション参加者のほぼ全員がロシア初訪問。「意外にも、思ったよりずっと発展している」「予想より治安が良い」「道を聞いたら親切に教えてくれた」などの声が聞かれ、ロシアという国に対する印象が好転した人も多かった。ジェトロ・モスクワ事務所の野村邦宏所長は「ゼロがイチになったのは大きいことで、非常に大きな一歩だと思います。お帰りになったらぜひこの体験を周りの方に伝えていただきたい」と話している。