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「アデリナは今、コメントを出す心境にない。でも医者の診断がはっきりしたら、僕らはそれを公表するつもりだ。アデリナが僕のところに来たのは完全なトレーニングを受けるためだった。当時アデリナは減量が必要だったので、それに取り組み始めた。ところがその後、怪我をしてしまった。」
なかなか怪我を克服できないソトニコワ選手はもうスポーツマンとして終わりだというコメントがフィギュアのプロらの間から相次いで出されている。自身も怪我を重ねてきたプルシェンコ氏には怪我を負ったスポーツマンの心境が痛いほどわかる。
「僕の復帰も多くの人が信じなかった。でも戻ったじゃないか。悪意を持った人間は本当に多い。サクセスは嫌われるからね。こないだアデリナに言ったよ。『僕らはね、スポーツ界にいるんだってところを証明しなければいけない。健康とパワーを取り戻すんだ』って。」
それでは今シーズンはどうなるのだろうか? ソトニコワ選手のほうは出場の意思は固いが、プルシェンコ氏は今季はやはり復帰は無理だとふんでいる。プルシェンコ氏は医師の診断ミスで正しい治療ができなかったことから、ドイツにいる自分の知り合いの医師のもとにソトニコワ選手を送り込むつもりだ。復帰時期を語るのはまだまだ時期尚早だとプルシェンコ氏はいう。
プルシェンコ監督のもとでトレーニングを積むソトニコワ選手だが、プルシェンコ氏が彼女を呼んだわけではない。ソトニコワ選手の方からプルシェンコ監督のもとにやって来た。一番の理由はプルシェンコ氏が怪我を克服して復帰した経験を持つからだった。
「あなたはどうしたら回復してスポーツ界に戻れるかを知っている。私はあなたとトレーニングしたい。」これがソトニコワ選手の言葉だった。
ソトニコワ選手はプルシェンコ氏のもとでアイスショーに出演した。プルシェンコ氏はショーに出ることでこの人間がスポーツ選手なのか、アクターなのかが明白になるという。ショーとは何かがわかったソトニコワ選手はスポーツマンとしてのキャリアを続けると宣言した。プルシェンコ氏は『それはかなり難しい』と言ったがソトニコワ選手の意思は変わらなかった。
「今、僕らが決めたことは今季は欠場でやりすごすこと。でも翌年には大会に出る。最初はリガのような小さなものだっていいんだ。それから大きなものに出ていく。」
ショーに出させながらプルシェンコ氏は、ソトニコワ選手に本当にスポーツが必要なのか自分なりに理解しようとしていた。
「プロのスポーツはトレーニングの連続で他には全く隙が無い。アデリナは僕のところに来た時にはすでにスポーツに完全に没頭せねばならないことを意識していた。」
ソトニコワ選手はショーや広告の世界ではすでに輝かしい位置を占めている。これを経験した後、質の高いスポーツトレーニングに戻れるのかという疑問もささやかれる。これに対してプルシェンコ氏は「どんな人間でも戻れる。ただしそれを本人が望めば、の話だ」と語り、きつい特訓に戻るためには「彼女は今手にしているすべてを拒否しなければならない」と断言する。
「そんなこと当然だ。右にも左にも一歩もずれることは許されない。スポーツをやるなら早朝特訓、休み、日中特訓、休み、夜の特訓、休み、これ以外の選択はない。」
ソトニコワ選手はこれだけの怪我を負ったのだから、もう自分は無理だとは思わないのだろうか?
「思わない。絶対復帰するというソトニコワの気概は全く変わらず申し分なく強い。だが元の水準に戻るには正しい準備を万事行う必要がある。1年たてば今、活躍している女子選手らと互角で戦える。」
今、ロシア女子フィギュアといえばメドベージェワ選手の活躍が目覚ましい。平昌五輪の後、来季にプルシェンコ監督のこの言葉が事実となるか、見守りたい。
「アデリノチカ(編集部注:アデリナの愛称)、僕は34歳で15回の手術を受けた。僕の監督は、誰も鼻で笑って僕の復帰を信じず、相手にしてくれなかったときに信じていてくれたよ。そうして僕とアレクセイ・ニコラエヴィチ・ミーシン監督はともに過去4度のオリンピックで4つのメダルをロシアの、この偉大なスポーツ大国のために勝ち取ったんだ! 今君の人生は一番楽な時ではないし、ついこないだまで君を褒めちぎっていた同僚が実に不可解なコメントを出している。君は偉大なスポーツマンだよ! みんな、彼女がロシア女子フィギュア史上、初の金メダルをもたらしてくれたことを忘れないでほしい。|(中略)大事な、そして大好きなアデリナ、僕もファンも君の復帰を信じている。(中略)パワーと健康さえあれば僕はいつだって君を応援するよ。友達でスポーツマン、監督、そして人間として。ハグ」
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