スプートニク日本
双方がお互いの大虐殺と不当な残虐行為を非難している。ロヒンギャと仏教徒との衝突は何年も続いている。
一方ロシアではロヒンギャとの連帯を訴え、4日にモスクワ中心部にあるミャンマー大使館付近で、5日にロシア・チェチェン共和国首都グローズヌイで大規模集会が開かれた。デモ参加者は「仏教徒はテロリストだ」というプラカードを掲げていた。
スプートニクのインタビューに対して、モスクワ・ツォンカパ・ラマ仏教センターのアルトゥール・ユスポヴィッチ理事が、今回の衝突は本質的に宗教と直接的な関係を持たないとして次のように述べた。
「自らの内に光を持たず、闇や悪感情、悪を抱える人々は仏教徒とは考えられない。いかなる宗教の旗印の元に行動し、いかなる服に身を包もうが、他者に害をなし、暴力をふるい殺すものは、その行為によって自らをあらゆる宗教からも除外している。イスラム教、キリスト教正教、仏教の仮面の下で行われる犯罪は、そのような宗教と関係ない。あらゆる宗教の典範は、『他者に悪をなすべからず。それは自らに返ってくる』というもの。モスクワやロシアの仏教界はあらゆる暴力に極めて否定的に接しており、紛争当事者全てへ過激な手段に出ず、落ち着いて話をつけるように呼びかけている。私はまだこの件に関するダライ・ラマ法王の発表を目にしていないが、発表が平和と安定への呼びかけとなることは確信している。」
モスクワのダライ・ラマ代理人であるユリア・ジロンキナ氏はスプートニクのインタビューに対して、ミャンマーでの出来事についてダライ・ラマ14世の発表を毎日待っているとして「公式発表はまだない。だが以前のメッセージでダライ・ラマ法王は、仏教徒がイスラム教徒に手を上げることを見たならば、仏陀はイスラム教徒の側に立つだろうと何度も述べている。これがダライ・ラマ法王の信条だ。しかし!ダライ・ラマ法王はミャンマーの仏教徒にとっての精神的指導者ではない。これは信仰でつながる兄弟だが、イスラム教やキリスト教同様、仏教にも様々な宗派がある。ダライ・ラマ法王はチベットの仏教の精神的な父であるため、彼の話をミャンマーの仏教徒が聞き、その呼びかけに耳を貸すかは、大きな疑問が残る」と述べた。
ノーベル平和賞受賞者で民主主義確立に向けて努力してきた闘士で、ミャンマーの国家顧問兼外相を務めるアウン・サン・スー・チー氏は沈黙を保っている。2015年には、ミャンマーで半世紀ぶりに行われた自由な投票と公正な開票が保証された選挙で、スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)は上下両院で圧倒的過半数を獲得した。
ラカイン州における仏教徒とイスラム系のロヒンギャとの争いは第2次世界大戦に遡るという見解がある。日本が英植民地ビルマを占領すると、ロヒンギャが英国の側に立ち、パルチザンを開始。仏教徒は独立を約束した日本を支援し、日本軍に協力していたビルマ国民軍へと一挙に入隊し始める。同軍の創設者でビルマ共産党の創設者の1人アウンサンは、スー・チー氏の父親。しかし1945年、日本軍の約束が空手形だと確信したアウンサンは、国民の過半数の支持のもと抗日運動を指導した。