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ロシア科学アカデミー地磁気・電離層・電磁波研究所宇宙気象センターのセルゲイ・ガルバシ所長は、今回の太陽フレアを通常のプロセスと考えている。
だが、9月に観測された太陽フレアの一つは、2008年12月以来最も大規模なものだった。米航空宇宙局(NASA)の太陽観測衛星「ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー(SDO)」による観測で、この太陽フレアのX線等級による強度は「X9.3」に分類された。その後これが人々の体調にどのような否定的影響を与え、それからどう身を守ればよいかといった報道が瞬く間に広がった。では太陽フレアの発生周期は解明されているのだろうか。
「太陽は生き物と同じように、実に様々なエネルギーを放出している。強いエネルギーもあれば、あまり強くないものもある。一番わかりやすいのは光だ。だがもっと極端な種類のエネルギーもある。それが太陽表面で目に見える形となっているのが黒点だ」とガルバシ氏は説明する。「この黒点も一種の太陽フレアのようなものだ。光を放ち、X線その他の電磁波も放出している。時には黒点から「プラズマ」と呼ばれる状態の物質が飛び出してくる。我々の地球に向かって飛んでくる何百万トンものプラズマは地球の大気と反応する。もちろん、このことはある一定の影響を及ぼすが、驚く必要はない。これは一定の周期で繰り返す通常の現象だ。太陽活動の周期は、8年や13年のときもあるが、平均でおよそ11年だ。なぜ11年なのかはまだ誰にもわかっていない。もし誰かがその科学的根拠を示すことができれば、おそらく彼はノーベル賞を受賞することになるだろう。太陽活動が最も活発な時期には、黒点も多く発生する」。
Two solar flares were released by the Sun this morning, one of which was the most powerful flare recorded since 2008 https://t.co/XpSiMdU159 pic.twitter.com/oYgptLJKyj
— NASA (@NASA) 6 сентября 2017 г.
「スプートニク」は、ここ数年の太陽活動における特筆すべき現象は何か、そしてその活動は時間とともに強まっているのかどうかについて聞いた。ガルバシ氏は以下のように答えた。
「2009年は太陽活動が極度に低下した年だった。これまでそのようなことはほとんどなかった。通常は50を数える様々な強さの磁気嵐が、2009年には全部でたった4つだった。一方最も規模の大きかった太陽フレアは、私の記憶では2003年10月30日に発生したものだ。当時モスクワ上空でオーロラを観測することができたほどだ。だがこのときでさえ太陽活動が原因で人間が死に至るということはなかった。太陽活動は従来の極小期と極大期の間で推移している。太陽が原因で世界の終わりがやって来ると考える必要はない。11年周期のどこかの段階で活動が活発になることは普通にあり得るが、ちょうど今は太陽活動の極小期に向かいつつある時期なのだ」。
気象条件に敏感な人は、実際、太陽フレアが原因で体調が悪化する可能性はある。統計によると、太陽フレアが発生した時期における心筋梗塞の発症件数は増加するという。しかしガルバシ氏は、医師に対して疑い深く思い込みの強い人々が気分が悪いと感じるのは、太陽活動が原因ではなく、太陽フレアの記事を読んだあとだからだ、と強調している。
では一方宇宙分野に対する太陽フレアの影響にはどのようなものがあるのだろうか。
地球上では人々が、太陽フレアの「楽しい」結果を心待ちにしている。先の報道によれば、今回はモスクワでなくても、ロシアのいくつかの地域で太陽フレアが原因でオーロラが見られるかもしれない。例えば、ノボシビルスク州では今回実際にオーロラを観測することができたという。