アニシモフ学長は「柔道部創設によって、大学におけるスポーツの発展と、日露関係の強化をうまく結びつけることができました。日本で柔道を積極的に推進している、東海大学とのパートナーシップのおかげです」と喜びを語った。ロシア柔道連盟副会長でアテネオリンピック銀メダリストのタメルラン・トメノフ氏も、「私は、柔道部の活動に一番積極的に参加するつもりです。私自身も講座を開きますし、知り合いの選手達に声をかけて、ここで学生を指導するように呼びかけます」と張り切っている。この秋から極東連邦大学の体育の授業に柔道が取り入れられるので、部員だけでなく初心者も柔道を楽しむことができるようになる。
全日本柔道連盟の会長で、東海大学の副学長でもある山下泰裕氏もオープニングセレモニーに立会った。広く知られているように、プーチン大統領自身も黒帯の柔道家であり、山下氏のことを「偉大なスポーツマンであり、人格者」と尊敬し慕っている。山下氏は、世界に柔道を広めるNPO法人「柔道教育ソリダリティー」の理事長も務めており、ロシアでの活動に尽力してきた。柔道部本格始動にあたり、東海大学は指導者を派遣し、柔道教育ソリダリティーは畳や柔道衣を寄付する。
山下氏「東方経済フォーラムに集った各国首脳のうち、プーチン大統領も、モンゴルのバトトルガ大統領も柔道家です。柔道は単に勝敗のみを競うものではなく、心身を高め、うまく発達させるものです。それを日常生活に生かしてより良い人生を送る、そしてより良い社会を作ることに貢献する。これが嘉納治五郎師範の哲学なのです。私たちは、ロシアで柔道がさらに多くの学生にとって親しまれるものになるように一生懸命努力します。心身ともに充実した健全な学生がこの極東連邦大学から大きく育ってくれることを心から願っていますし、東海大は柔道においては日本で他の追随を許さない実績を持っていますから、必ず期待にお応えすることができると思います」
これに先駆けて、ウラジオストク市内では柔道大会「嘉納治五郎記念ウラジオストク日露ジュニア交流大会」が行われていた。安倍首相はプーチン大統領に講道館所蔵の「精力善用」の書をプレゼント。嘉納師範の貴重な直筆書で、「鍛えた心身を社会のために有効に使う」という意味が込められている。