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だが、このような返答に国際社会が納得できないのは明らかだ。彼らが何よりも危惧しているのは、安全保障問題とされているからだ。オリンピック開幕まで残すところ5カ月となった時点で売れたチケットがわずか22%であるのも偶然ではない。ある意味で冬季五輪のワースト記録がつくられた。
狙われているオリンピック
オリンピック開催地から北との国境まではわずか100キロ。さらに北朝鮮の大規模な港がある元山までも100キロ。最近、北朝鮮は元山付近から中距離ミサイル「火星10号」や、すでに証明済みの「火星5号」、「火星6号」を発射している。
これらのミサイルの射程は300キロ以上であるため、深刻な紛争が起こった場合には平昌、そしてオリンピックの競技会場のみならず韓国空軍の大規模な基地もある江陵も、北朝鮮のミサイルを浴びる恐れがある。
位置について(Ready)、
五輪は、毎年春に行われている米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」と「フォール・イーグル」が始まる前に閉幕しなければならいということが、平昌五輪開催に関する国際オリンピック委員会(IOC)の決定に影響した可能性がある。これらの演習の最中には、通常、北朝鮮との緊張が高まる。さらに、国際社会にとって「まだ理解できた」金正日総書記時代の2011年7月に、北朝鮮は比較的威力の弱い核実験を2回実施しただけで、本物の弾道ミサイルの特性に近いものを彷彿させたとはいえ、ミサイルの発射には1度も成功していない。だが今年2017年、状況は大きく変わり、今や春の演習とは関係なく、北朝鮮問題で神経をすり減らす根拠は十分となる。
用意(Steady)、
ドン(Go)!
明かな脅威があるにもかかわらず、IOCは平昌五輪に関する「プランB」の議論を懸命に回避している。だが北朝鮮がこれほど急速に自国のミサイル・核開発を進めるならば、2018年冬季五輪の開催までに朝鮮半島の危機が、オリンピックが実際に中止あるいは延期されるほどのレベルにまで拡大する恐れがある。