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2002年、ロシアは一連の場所での禁煙を定める法を発効させた。これにより職場、スタジアム、学校、大学、病院、店舗、児童遊園、エレベーター、航空機、ガソリンスタンドではタバコは吸えなくなった。2013年の初めにはさらに列車、駅、ホテル、カフェ、レストランのほか、公共の場所での喫煙を禁じる法律が出され、その上、タバコの広告も完全に禁じられた。
日本でも2003年、病院、店舗等の建物、地下鉄、鉄道のプラットフォーム、街頭での喫煙が法で禁じられ、喫煙は特別なコーナーでのみ許可されるようになった。2009年になると禁煙の場所は拡大し、交通機関及び公共の場では全くタバコが吸えなくなった。わずか小規模のバーのみ、ある一定の条件を満たしたうえで喫煙が許されている。2012年にはより広範な喫煙対策計画のフォーマットが採択されており、東京五輪、パラリンピックの開催される2020年に近づくにつれ、禁煙措置は厳しさを増している。その1年前に行われる2019年のラグビーのワールドカップ前には禁煙闘争の結果をなんとか出したいというところだ。
1970年代から80年代の段階では喫煙はロシアでも日本でもそれほど後ろ指を指されるような行為ではなかった。たばこ産業の種類も多様化し、箱のデザインも洗練され、煙をくゆらせる姿は映画やお茶の間を流れるテレビ番組にも映し出されていた。ところが今の時代はそうはいかない。宮崎駿監督のアニメ『風立ちぬ』でも主人公がタバコをもつ姿が映し出されただけで社会からは非難が浴びせられた。
ロシア保健省の要請のほうが上をいっている。保健省は古い映画からタバコを吸うシーンをすべてカットし、登場人物がタバコを吸っている映画への資金支援を行わないよう求めた。この要請は行き過ぎとして退けられたものの、喫煙行為はますます喉元を絞められた形となった。先日、ロシアの反喫煙同盟は政府に対し、たばこ税の割合を欧州の平均値にまで引き上げるよう要請した。これが実現化されると、タバコの価格は平均で1箱150ルーブル(およそ292円)になる。これは日本のたばこの値段よりはずっと安いが、ロシアの喫煙者の懐にはかなりずしんと響く。ロシアではMeviusのライセンスで作られたタバコは1箱90ルーブル(およそ175円)くらいで売られている。
全世界的な禁煙運動の熱狂的支持者らは世界保健機関(WHO)のたばこ規制に関する枠組み条約に言及している。WHOは副流煙による受動喫煙の害も取り上げており、ほとんどの禁煙活動もタバコは吸わない人の健康も奪っていることにアクセントを置いているからだ。しかしながら、WHOが根拠としている調査は全部が全部信憑性があるわけではない。国際ガン研究機関のレポートによれば、受動喫煙が健康に深刻なリスクをもたらすとされたのは2002年からだが、それについては根拠は一切示されていない。逆に多くの調査では受動喫煙によるガン罹患リスクは0.02%から0.15%の間を上下していることが証明されている。また2006年に反タバコレポートを提出した専門家ら(ジョナサン・サーメット、ニール・ベノウィッツ、ジャック・ヘンニングフィールドの3氏)は、禁煙補助薬の推進に関心を持つバイオ製薬会社から補助金をもらっていたことが明るみになった。
いずれにせよ、世界の大多数の国で喫煙人口は減少へ向かっており、社会の喫煙へ向ける姿勢もネガティブななものになりつつある。こうした現象はロシアでも日本でも同じだ。これこそ禁煙キャンペーン拡大のめざすところであろう。
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