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慰安婦関連資料の登録をめぐっては、日本と中国で見解が異なる南京事件をめぐる資料が中国による申請で「南京大虐殺の記録」として2015年に登録されたことなどから、日本政府は事業が政治利用されているとして強く反発していた。この「南京大虐殺の記録」について日本政府は、史料の真正性に疑問があるとして抗議し、ユネスコの分担金拠出を一時留保した。
諮問委では、申請された候補127件のうち慰安婦関連資料や、イスラエルが反発しているパレスチナ紛争のポスター集など数件が「政治的案件」とされ、委員からは「議論が分かれる案件は当事者間の対話や意見聴取が必要」との意見が出た。
第二次世界大戦中の慰安婦問題について、韓国では今でも日本政府の責任を問う声が根強い一方、日本政府は1965年の日韓請求権協定に基づき解決済みとの立場をとる。2015年の日韓合意でも「最終的、不可逆的に解決される」とした。しかし現在の韓国文在寅(ムン・ジェイン)政権は合意の経緯をあらためて検証している。産経新聞によると、韓国外務省報道官は24日、慰安婦関連資料の世界記憶遺産への登録について「韓国政府は登録されるよう努力している」と語り、2015年の日韓合意に違反するのではないかとの指摘に「同意しない」と答えたが、その後韓国政府は「従来の韓国政府の立場に変わりはない」とし、報道官の発言を取り消し否定した。
ユネスコは今年、申請内容を事前公表し、関係国の反対意見も聴取し判断材料にする審査の改善方針を議論。2019年の次回審査から取り入れる。ユネスコではパレスチナが申請した世界遺産登録をめぐる政治的対立から米国とイスラエルが10月中旬に脱退を表明した。
韓国の大手紙「朝鮮日報」は、日本は米国に次いで2番目に多いユネスコの分担金を支払っており、これまでユネスコによる日本に不利な決定に対して分担金の支払いを留保してユネスコに圧力をかけてきたとし、日本のユネスコ脱退を求める声が日本国内で上がる可能性を指摘したうえで、慰安婦関連資料が登録された場合の日本政府の対応とユネスコ脱退の可能性について記者会見で問われた菅官房長官が「仮定の質問に答えることは控えたい」と言及を避けたと伝えている。