アジア版NATOの創設は、トランプ氏による日韓訪問の目的の一つ?

© REUTERS / Kim Kyung-Hoonアジア版NATOの創設は、トランプ氏による日韓訪問の目的の一つ?
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11月6日から7日にかけて、米国・韓国・オーストラリアは、海軍演習を韓国の済州島で行なっている。韓国海軍の司令官は、北朝鮮の核および大量破壊兵器などの往来を阻止するため、同盟国間の協調行動を仕上げる、と述べている。この演習の期間が、トランプ米大統領のアジア歴訪と重なっているのは偶然ではない。

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この海軍演習が北朝鮮に非常に近い場所で行なわれていることから、これが北朝鮮当局に対するある種の圧力であることは明らかだ。演習には4隻の船が参加している。韓国のイージス駆逐艦「世宗」、米国のイージス駆逐艦「チャフィー」、オーストラリア海軍の護衛艦「メルボルン」「パラマッタ」だ。

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韓国で数千人がトランプ氏訪韓前に抗議活動 【写真】
北朝鮮当局はこのような演習を常に、挑発を呼び起こすものだとみなしている。演習がトランプ大統領のソウル訪問前日にスタートしたことは、北朝鮮を苛立たせるものだ。5日、北朝鮮の中央紙「労働新聞」は、トランプ米大統領に対し、韓国訪問の際には「ばかげたおしゃべり」を控えるべきだとし、北朝鮮を挑発しないよう忠告した。また労働新聞は、もし米国が北朝鮮の意図を汲まず、攻撃的な歩調をとるなら、「厳しく決定的に米国に罰を与える」よりほかに、北朝鮮には選択肢は無いことを指摘している。

このような脅し文句は、世界の専門家たちが注目している「新しい状況」がなければ、いつもの反アメリカ的なレトリックだとみなしておくこともできた。米国は、北朝鮮をめぐる状況が先鋭化していることを利用し、NATOのアジア版とでも言うべきものを作り出そうとしている可能性がある。米国によって、日本・韓国・オーストラリア・インドといった国々と北東アジアで定期的に行なわれている海軍演習は、この機構の参加者のおおよその範囲というものを細部まで描き出している。そしてこれらの演習は、アジア版NATO創設準備への最初の一歩のひとつなのかもしれない。であるから、最近の、北朝鮮からのトランプ大統領に対する警告は、韓国当局へのシグナルでもある。韓国に対し、米国との関係を、軍事同盟創設にまで発展させないよう警告しているのだ。

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これら全てを考慮すると、韓国の文在寅大統領は明らかに、新しい軍事機構またはアジア版ミニNATOに、自国が引きずり込まれるだろうことを予見している。そうであるからこそ最近、ありとあらゆる方法で、新しい軍事同盟創設の可能性について否定しているのだ。日本とより強い結びつきをもつことは北朝鮮への牽制に必要だが、韓国は自国の軍事協力の範囲で、日本との協力の図を描こうとしている。日本は韓国にとって大事なパートナーではあるが、軍事同盟国ではないし、これからも軍事同盟国になることはない。3日、シンガポールにおける「ニュースアジア」のインタビューにおいて文大統領は、「3カ国の連携が軍事同盟レベルにまで発展することは望ましくない」と話した。

吉林大学・北東アジア研究所の巴殿君所長は、インド・太平洋地域におけるアメリカの戦略はNATOの戦略と緊密に絡み合っているとみなし、次のように述べている。

「日米・日豪の二国間関係、そして日米韓の軍事協力が常に強化されることは、北東アジアにおける潜在力のアンバランスと朝鮮半島における諸問題をもたらす。それは、NATOを東側に広げようとするだけでなく、『アジアのNATO』を形成しようともくろむ米国のグローバル戦略の一環だ。絶え間ない米国の影響は、北東アジアだけでなく、東アジア、環太平洋地域やインド洋にも広がっている。米国、オーストラリア、インド、日本の軍事協力は、インド太平洋戦略のコンセプトを実現化するものだ。この傾向はもうとっくの昔に秘密ではなくなっている。近い将来、アジア版NATOが形成され、インド太平洋版NATOさえも形成されるだろう。トランプ氏が大統領職にある間にこのプロセスは加速するかもしれない。オバマ氏が環太平洋地域のバランスをとりなおそうという戦略を具体化させようとしたとすれば、トランプ氏のインド・太平洋戦略は、もっと大きいレベルで、我々の注目に値する。米国は今、大西洋の同盟から太平洋の同盟に、さらにインド洋にまで方向転換している。これこそが今、我々が注意を払わなければいけないことだ」

また、専門家達は、中国当局を不安に陥れている、日米韓が軍事同盟を創設するのではないかという問題は、米中首脳会談において、習近平氏によって話題にのぼるかもしれないという可能性を排除していない。中国が自国の安全保障強化のためにどのような対抗措置を取るのかは、米国が自国の目的実現のためにどれだけの行動を起こすかにかかっている。

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