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この方向に向けたもう一つの動きが、東シナ海の離島を防衛することになる日本独自の海兵隊「水陸機動団」の創設である。当初の規模は約2100人を予定している。朝日新聞が防衛省への取材をもとに報じた。
日本国憲法の平和条項を変更するための自らの努力に、安倍氏が確信を持っているのは、米国がこの変化を承認しているという事実があるからである。アジア太平洋地域における軍事的支配権を、米国防総省がどこか他国と分かち合おうと望んでいることはないだろうが、米国は軍備の整った複数の同盟国を北朝鮮と中国の隣に必要としているのだ。
2016年末、中国海軍、そして北朝鮮によるミサイルの脅威からの安全保障問題に対処しようと、日本政府は2017年度の軍事予算を空前の規模である5兆1251億円に増額することを承認した。
ロシアの著名な東洋学者、ドミトリー・ストレリツォフ氏は「スプートニク」とのインタビューで以下のように述べている。「日本は中国を、潜在的な軍事的競争相手の筆頭と受け止めている。そのため、このような動きは既に長期的傾向となっている。その根拠となっているのは、天然ガスの産地と日中両国の排他的経済水域の境界線がある尖閣諸島近海での事態悪化の可能性という、最も論議を呼ぶシナリオだ。領土問題を武力で解決しようとする試みを撃退することについて、全てが想定されている。中には、水上でも地上でも使える水陸両用の装甲兵員輸送車や、関連する軍用輸送機、偵察機も含まれている」。
だが、「積極的平和主義」という新たな戦略の中で、国民は自らが安全だと感じるだろうか。軍事作戦に参加する自衛隊の改革に対して、日本の主要政党はどのような態度をとっているのだろうか。ストレリツォフ氏は次のように述べている。
「『希望の党』や『維新の党』といった野党は原則として、政権与党の自民党と同じように平和憲法の改正を支持しており、これが日本政治の全体的なトーンを示している。一方で、反対する人々は今日明らかに少数派だ。だが全体として、日本社会は未だこの問題について割れており、かなりの数の日本人が依然として、憲法改正の展望に対して警戒感をもって接している。しかし、北朝鮮の脅威が原因で不安を感じている風潮が、時間とともに世論を変える可能性はある。その場合、自衛隊に関して改正された法的基盤は、米国や世界中の同盟国と自衛隊が協同することを可能にする。日本は地域や世界全体の軍事的・政治的勢力均衡における、完全な権利を持つプレーヤーとなるのだ」。
安倍政権は、自衛隊の改革は専ら日本の国益に沿ったものであると確信している。だが自国の軍事予算の増額は、米国の地政学的ゲームにおける日本政府の新たな降伏ではないのだろうか。このゲームで日本は既に、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)における経済的パートナーの役割を拒否されているのだ。