日本の著名演出家・鈴木忠志氏、ペテルブルク国際文化フォーラムで公開俳優訓練

© 写真 : SCOT鈴木忠志氏
鈴木忠志氏 - Sputnik 日本
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11月16日から19日にかけ、第6回サンクトペテルブルク国際文化フォーラムが開催される。日本はカザフスタンとともに、「ゲスト国」に選ばれている。フォーラムのゲストには日本の著名な演出家・鈴木忠志氏、名古屋外国語大学の亀山郁夫学長、ヴァイオリニストの諏訪内晶子氏など、数々の文化人が招待されている。

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SPAC宮城聰芸術総監督「シンプルなメッセージ伝わった」熱狂のモスクワ公演 - Sputnik 日本
SPAC宮城聰芸術総監督「シンプルなメッセージ伝わった」熱狂のモスクワ公演
鈴木氏は、富山県南砺市利賀村に本拠地をおく劇団「SCOT」を主宰している。利賀村は人口数百人の小さな村だが、夏の演劇フェスティバルには1万人が来場するなど、演劇の聖地として有名な場所だ。今年のフェスティバルでは、ロシアの演出家ワレリー・フォーキン氏が演出した「ハムレット」も上演された。

SCOTの制作担当者、重政良恵さんによれば、鈴木氏にとってロシアとのつながりは長く深い。SCOTのソ連初公演は1991年の「ディオニュソス」だった。2004年にはモスクワ芸術座で芸術監督オレグ・タバコフ氏の依頼により「リア王」を演出。モスクワ芸術座といえば、モスクワ芸術座の演出家であり演劇教師だったコンスタンチン・スタニスラフスキーが考案した世界的に有名な俳優教育法「スタニスラフスキー・システム」が誕生した場所だ。重政さんは当時を次のように振り返る。

重政さん「当時、鈴木の俳優訓練法は『スタニスラフスキー・メソッド』と真逆だと思われていたため、彼がモスクワ芸術座のために芝居を手がけることは、日本演劇界に大きな驚きをもって受けとめられました。鈴木は自らオーディションで配役を決め、選ばれた俳優たちはロシアから利賀村まで来て合宿を行ない、鈴木が考案した訓練法『スズキ・トレーニング・メソッド』を受けたのです」

© 写真 : Moscow Art Theatreモスクワ芸術座「リア王」ポスター(SCOT提供)
モスクワ芸術座「リア王」ポスター(SCOT提供) - Sputnik 日本
モスクワ芸術座「リア王」ポスター(SCOT提供)

結果、鈴木氏はこの業績により、ロシアの権威ある賞「スタニスラフスキー賞」を受賞。舞台も高評価を得て、「リア王」はモスクワ芸術座のレパートリーになった。2007年にはタガンカ劇場で芸術監督をしていたユーリー・リュビーモフ氏の依頼でギリシャ悲劇「エレクトラ」を演出した。これも成功をおさめ、タガンカ劇場のレパートリーに入った。

このほかにも鈴木氏は、ロシア人を含む世界各国の演劇人とともに1993年に舞台芸術祭「シアター・オリンピックス」を創設。2001年にモスクワで行なわれたシアター・オリンピックスではロシア大統領府(クレムリン)に招かれ、プーチン大統領と意見交換を行なった。

© 写真 : SCOTタガンカ劇場「エレクトラ」ポスター(SCOT提供)
タガンカ劇場「エレクトラ」ポスター(SCOT提供) - Sputnik 日本
タガンカ劇場「エレクトラ」ポスター(SCOT提供)

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今年の国際文化フォーラムでは特別プログラムとして、鈴木氏の俳優訓練法「スズキ・トレーニング・メソッド」のマスタークラスがサンクトペテルブルクで行なわれる。このメソッドはすでにアメリカ、ロシア、中国などの演劇大学や劇場で学ばれており、本拠地で学びたいと利賀村に留学してくる人も後を絶たない。このマスタークラスはアレクサンドリンスキー劇場・新館で一般公開される。

ソ連崩壊直前の1991年から定期的にロシアを訪れている重政さんは「ロシア人は演劇についての教養が深く演劇を愛する気持ちがとても強い人たちです。物のなかった時代でも劇場がいつも賑わっていたのがとても印象に残っています」と話している。

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