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韓国と日本の間では韓国政府設立の元慰安婦支援財団に日本が10億円を拠出することについて外務省レベルで待望の合意に達したように思われた。韓国側にとってはこれが民間団体からではなく、日本政府による拠出であることが極めて重要だった。そして同問題は最終的に解決されるかと思われた。だが韓国国民の歴史的かつ感情が先に立つ記憶にとっては、賠償金だけでは不十分だったようだ。
「スプートニク」は、アジア太平洋研究所日本語課の課長を務めるヴィタリー・シヴィトコ氏にコメントを求めた。シヴィトコ氏は、次のように語ったー
「2015年に韓国と日本の間で合意が成立した。日本は同問題がこれで最終的に解決されることを条件に賠償金を支払った。だが韓国の新政権はこの合意を支持せず、慰安婦問題はすべてが解決したわけではないと述べている。なぜなら大勢の韓国人がこの合意は軍国主義の日本が犯した罪への悔恨や認識ではなく、米国の明確な圧力の下でなされたものだと考えているからだ。すなわち再び問題が持ち上がり、悪化している。しかし法的に日本に非はない。なぜなら合意には、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されたものとされるという内容のフレーズが含まれているからだ。そのため韓国が約束を守らないことが、さらなる苛立ちの要因を生み出している。」
「この争いに対する韓国政府と米政府の姿勢はまったく異なっている。それはサンフランシスコでの争いは国家レベルではなく、民間レベルで生じたものだからだ。慰安婦像は韓国系団体などが協力して市民団体が設置したもので、市当局は市の文化遺産として慰安婦像を保護することができる。だが正式には像を設置したのは市ではない。そのため日本はサンフランシスコ市へ直接抗議した。すなわちこの状況は外交的なものではなく、市民団体や市当局のレベルにある。」
先にサンフランシスコ市議会が、市内に設置された慰安婦像の市への寄贈を受け入れる決議案を可決したと報じられた。市長が議案可決から10日以内に拒否権を発動しなければ、慰安婦像は市の公共物となる。大阪市は市長による拒否権の行使に期待している。だがサンフランシスコのエドウィン・M・リー市長の最近の発言や行動を考慮する限り、その望みは薄くなる一方だ。中国系米国人のリー市長は拒否権を行使するどころか、決議を支持するのではないかとみられる。
日本と韓国が歴史からどれほど遠ざかっても、両国の間には今も隠れた危険性が残っており、それが定期的に表面化していることが示されている。そしてさらに国外の出来事も両国関係の完全な正常化を妨げている。