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IOC理事会にはフィギュアスケート世界選手権を2連覇したエフゲニア・メドベージェワ選手もロシア代表団の一員として加り、トーマス・バッハ会長をはじめとする理事会のメンバーにスピーチを行った。
メドベージェワ選手のスピーチの全文がロシア・オリンピック委員会の公式サイトに公表されている。
「尊敬する会長、理事会のメンバーの皆さま、
私にとりまして、今日ここに列席いたしておりますのは大変名誉なことです。ロシア人スポーツ選手を代表いたしまして、みなさまに一言申し上げる機会をいただきましたことを感謝申し上げます。
私は最後の瞬間まで、ロシアのスポーツに関する否定的な報道には努めて注意をむけないようにしてきました。私は、私どものような「潔白な」ロシア人選手は何も悪くないと考えてきたからです。実際にアンチドーピング規則に違反した人がいたとしても、私どもはこれには何の関わりもありません。
私は多くの様々な大会に参加してまいりました。そして2度の世界チャンピオンというタイトルを獲得しましたことを極めて誇りに思っております。ですがオリンピック、これは私の夢なのです! どんな人間も夢を持っています。そしてあなた方もご自分の夢をかなえるチャンスをお持ちだったはずです。私にもそれと同じことを許してください! 自分のスポーツ人生で平昌以後、はたして次のオリンピックがありうるか、私にはわかりません。
私は常に、オリンピックに出場するためにはリンクの上で戦わねばならないと思ってきました。残念なことに今の私にわかっているのは、このチャンスを私には一切関わりのない状況のために逸しかねないということです。
オリンピックにロシアの国旗を掲げず、無国籍の選手として出場するということは、私には受け入れられるものではありません。私は自分の国を誇りに思っております。私にとりましてはオリンピックで国を代表することはそれは大きな名誉なのであり、これが出場する私に力を与え、鼓舞してくれるのです。
この他に、私にとりましてオリンピックは個人の競技としても代表チームの競技としても同じくらい重要なものなのです。もし国旗を掲げずに出場することになれば、代表チームとしての競技はできません。ところが他の私のライバルたちにはその可能性はあるのです。オリンピック憲章には、スポーツマンは全員平等な可能性を有していなければならないと書かれています。ですがこうなった場合、平等はありえません。
IOCがロシア人選手らから代表団としての五輪参加権をはく奪したことについて、IOCのトーマス・バッハ会長は「これはオリンピックの公正に対する前代未聞の攻撃だった。このためIOC理事会はこうした決定をとった」と語っている。
IOC理事会の会合ではロシア代表者らにスピーチのチャンスが与えられ、ロシア・オリンピック委員会のアレクサンドル・ジューコフ委員長、独立社会アンチドーピング委員会のヴィターリ・スミルノフ委員長、フィギュアスケートのエフゲニア・メドベージェワ選手が列席した。多くの人が、メドベージェワ選手がスピーチを行った瞬間、IOCのメンバーらの頭に何らかの妥協を行うという可能性が現れたと指摘している。
ロシア・オリンピック委員会のジューコフ委員長は、「決定は五輪運動史上前代未聞のことであり、非常に酷なものだ。ジェーニャ(メドベージェワ選手)のスピーチは、我々の代表団の選手全員が参加できるという決定がとられた上で大きな役割を果たしたと思う」と語っている。
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