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一見すると、空母と艦載機を分断するとは奇妙な決定だ。艦載機がない空母は無益だ。しかし朝鮮半島危機の文脈ではこの決定は合目的だ。スーパーホーネットの戦闘行動半径は726キロ。岩国基地から北朝鮮と韓国の間の非武装中立地帯を超え、海州ー元山ラインまで飛ぶことができる。厚木基地からでは、そもそも北朝鮮には到達できなかっただろう。
スーパーホーネットは吊り下げたタンクに予備の燃料を搭載可能。その場合、戦闘行動半径は1450キロにまで伸びる。燃料搭載の場合は、上海や南京、天津まで到達可能で、北朝鮮は完全にカバーできる。こうして、岩国基地への移駐後、ロナルド・レーガンの艦載機は命令があれば戦闘に参加できる。つまり、1、2時間後には北朝鮮の領空に到着する。空母は少し後にやって来ることもできる。
これは、北朝鮮のもっとも重要な標的を突如攻撃するという観点からは非常に重要なファクターだ。もし機体が空母にいれば、これほど大きな艦体が突如海に出ることは、北朝鮮の情報機関に何らかの作戦準備を示すことになるだろう。そうなれば北朝鮮の防空軍に最大限の戦闘準備を行う命令が下される。岩国基地からは定期的にルーティーン機や訓練機が飛び立っているため、基地からの戦闘機を発見することは比べ物にならないほど難しい。飛び立った機体のどれが戦闘用かを予見し、迎撃を準備すべきかを判断することは非常に難しい。
今回の移駐は米空軍の北朝鮮への突然の空爆準備に向けた更なる1歩である可能性がある。この仮説は、日本政府が地上配備型のイージスシステム「イージス・アショア」の購入と配備を早めたという事実からも補強される。購入のために今年度補正予算案に21億円を計上する方針だ。イージス・アショアは秋田県と山口県に配備されると見られる。つまり、北朝鮮ミサイルからの最も信頼できる防御は岩国基地に来る。
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