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この問題について、心理学者であり性科学者のユーリィ・コヴァリチュク氏は次のように解説する:
セクハラ被害者の対象となるのは、身持ちが悪く、挑発的な服装で誘いの声に乗りやすい女性だという意見があるが、実際は全く異なる。このような女性は相手にたやすく反撃を与えるか、或いは訴え出たりしないものだ。昨今の暴露騒動を起こしたのは、概してメディアの人間や俳優たちだ。俳優とは、人々の関心を自分に向けたがるという、性格的に感情的な力点のある人々である。そして今ではセクハラ被害者という立場の人気が急上昇した。かつては映画出演のために多くの代償を覚悟し、ある種のニュアンスに目をつぶっていた人々が、今や注目を浴びたいがためだけに喜々として汚れた下着の埃を落とそうとしている。本当のセクハラ犠牲者とは、臆病で人を信じやすく、自分に自信のない女性たちだ。彼女たちは優しく耳障りの良い言葉をスポンジのように吸収し、自分に注意を払い温かく接してくれる人間にいとも簡単に「なついて」しまう。もちろん彼女たちにとっても攻撃的な嫌がらせは不愉快で耐え難いものだろう。しかしその意志は、反撃に遭う恐れや羞恥心のため、そして周囲の支持が得られる確信がないことから麻痺してしまっている。このような女性たちは侮辱に黙って耐える道を選ぶことが多い。
1986年、ソ連のレニングラード(現サンクトペテルブルク)市とアメリカのボストン市で中継対話が行われた際にソ連側の女性が行った発言「ソ連にはセックスがない」とは、今日なおミームとして拡散している。もしかすると現代のロシアにもハラスメントは存在しない問題なのだろうか。コヴァリチュク氏は自身の見解を次のように続けた。
善良で友好的な関係と、異性からの誘惑や嫌がらせの境界はあまりはっきりとしていない。しかし、セクシャルハラスメントの意味とは、性的な望ましくない提案もしくは執拗な暗示と考えられている。ここで重要なのは『望ましくない』という語だ。ロシアでこれに相当するのが明確な身体的動作である一方、米国では、性的な相違が際立つようなほぼ全てのコミュニケーションがセクハラとみなされてしまう恐れがある。米国で起きた訴訟の中には、単なる解釈の違いやあやふやな冗談、短すぎた接近距離、含みのあるジェスチャーが原因だったケースも相当数ある。ロシアの法律にも「性的意味合いをもつ行為への働きかけ」という項目がある。だが、このような嫌がらせの事実を証明するのは難しい。大抵は一対一の場面で起きるものであり、しかも嫌がらせが言葉によるもので身体に傷が残っていない場合、その証明は更に難しくなる。
今回欧米で広がっている騒動では、興味深いことに、問題が犯罪行為ではなく、男性たちの愚かな振る舞いにあるという焦点が不明瞭になっている。だが「被害者たち」は、彼らによって心理的なトラウマを受け、今なお苦しんでいると主張する。ところで、社会的な成功を収めている裕福な男性に対し、性的被害を受けたという主張によって金銭を受け取ろうとした女性も少なくない。ビル・クリントン元米大統領を4人の女性が2000年代初めに受けたセクハラ被害で告訴しようとした出来事も、さほど過去のことではないだろう。しかし米紙ニューヨーク・タイムズの報道では、彼女らは和解金など金銭の支払いと引き換えに訴訟を取り下げることに合意したとされている。なお、現在のアメリカ大統領に対しても、不名誉な情報が存在すると言われている。トランプ氏はセクハラ問題で辞任に追い込まれるのだろうか — それは時が経てばわかることだろう。