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ザギトワ選手は今年、ジュニアからシリアへと移行したばかり。五輪出場については最有力候補のメドベージェワ選手の手前、非常に慎重な姿勢をとり、今まで一切口にしてこなかったが、名古屋GPの優勝後、初めて意欲を示す発言が出された。
今シーズン、ザギトワ選手はイタリアで開かれた「ロンバルディアトロフィー」で優勝し、中国のGPでも、フランスのGPでも優勝。今、1番絶好調な選手といえる。1年前は全く注目されなかったにもかかわらず、彗星のごとく現れた新たな才能にロシアのフィギュア界では、メドベージェワ選手の強力なライバル出現とささやかれ始めたが、ここにきてメドベージェワ選手の怪我による大会不在から、そうした声がますます現実味を帯びてきた。
ザギトワ選手はタタルスタンのイジェフスク出身で、2014年、12歳でエテリ・トゥトゥベリッゼ監督につくために家族と離れ、祖母とともにモスクワへ移ってきた。トゥトゥベリッゼ監督といえば、メドベージェワ選手を育てあげたことで有名。
ザギトワ選手の父親、イリナス・ザギトフ氏はアイスホッケー選手。スポーツ・ビジネス紙からのインタビューにイリナス氏は、娘の才能は最初から目覚ましいものがあったわけではなく、2016年ロシア・ジュニア杯で9位という成績を見れば明らかだとし、芽が出てきたのはごく最近だと語っている。
「質的なブレイクスルーが起きたのは昨年です。こんなことが起きるとはほとんどの人が予期していませんでした。監督たちは才能はあると言っていましたが、誰もそれがこんなに早く目を出すとは信じていなかったんです。」
父親は、ザギトワ選手の闘志精神は母親譲りで、母親から多くのものを学び、母なしではこうした強い子どもは育たなかったと語る。イリナス氏は娘を心配する父親らしく、娘の出場を生放送で観戦するほどの太い神経は自分にはなく、観るのはいつも録画映像だともらしている。
タタール人の血が流れるザギトワ選手。平昌五輪を目前にして、本領を発揮し始めた。着実に成長し、滑りに乱れが見られないところにも、自制の効いた発言にも子どもの精神を鍛えるトゥトゥベリッゼ監督のしつけの良さが感じられる。