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ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのジェームス・コックス教授によると、「この家族のメンバーは、腕や足が折れた時に最初は少し痛みを感じるが、その痛みはすぐに消え去る。例えばレティツィアはスキーをしていた時に肩を骨折したが気づかずに一日中スキーをした」という。
ヒトや枝分かれした神経系を有する他の動物のゲノムには、環境との相互作用や危険信号の発信を司る数十個の遺伝子がある。その中で最も効果的で万能なのが痛みの感覚だ。
コックス教授とその同僚たちは、78歳の母親とその50歳代の娘2人、及び20代と10代の孫3人のDNAを解析、比較してこのユニークなイタリア人家族の遺伝的秘密を明らかにした。
イタリア人家族がこの「すごい能力」を持っている理由は、様々な痛みの刺激に反応する際に神経細胞の感度を調整する役割りを担う遺伝子ZFHX2の単独変異であることがわかった。
学者たちはマウスのDNAから遺伝子ZFHX2を完全に除去した後、同遺伝子の「変異バージョン」を導入した。結果、マウスは熱、火傷、焼けつくような物質に全く反応しなくなった。
コックス氏は発見について、痛みを抑えたり、一時的に痛みを「オフ」にする薬をつくる助けになる可能性があると指摘している。
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