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首なし貴族
沼の近くにステパン・クチコという貴族が住んでおり、公はその家で長旅の休憩をしようと考えた。ところが、ふてぶてしい貴族は公を泊めることを拒否したため(または公を怒らせた。この部分に関しては多くの説がある)、捕らえられ、処刑された。それ以来、夜ごと、首のない貴族の幽霊がモスクワ市民を怖がらせている。しかし、この幽霊が出るのは一カ所だけ。ある古い通り、貴族の斬首された首が落下した、スレテンカ通りだけである。
建築家の幽霊
1474年、モスクワのクレムリンで大惨事が起こった。竣工間近の新しい生神女就寝大聖堂が崩壊したのである。そこで、当時の君主イワン3世は、建設の失敗を正すことのできる誰かを緊急に必要とした。才能あるイタリア人建築家のアリストティル・フィオラヴァンティがそれに同意し、建設を成功させた。しかし、仕事が終わっても、イワン3世はイタリア人建築家が国に帰ることを許さなかった。そこで、フィオラヴァンティは脱走することにしたのだが、捕まってしまい、クレムリンの塔の牢屋に入れられ、そこで命を落とした。伝説によると、今でもフィオラヴァンティの幽霊がクレムリンをさまよっているという・・・
強盗
伝説によると、この「男性」は行き場を失った18世紀の強盗の幽霊なのだという。この強盗は膨大な数の人々を殺め、シベリアでの重労働刑に処された。そして、ウラジーミル街道(ゴーリキー大通りはかつてこのように呼ばれていた)を同じような犯罪者と一緒に連行されていたときに頓死してしまった。強盗は死ぬ前に懺悔をする時間も与えられず、その遺体も然るべく埋葬されることがなかった。一行は遺体をそのまま道端に捨てて行ったのである。それ以来、血塗られた殺人鬼の幽霊はさまよい続けている。
ケチな老人
次の伝説は「ケチな老人」と名付けられた19世紀の幽霊に関するものである。
モスクワ市民によると、今では夜遅い時間や夜中にミャスニツカヤ通りを通ると、すり減ったコートを着た白髪の老人を見ることがあるという。老人は近づいて来て、あらゆる人に「私の金はどこだ?」と訊くのだという。伝説では、この幽霊を見るとろくな目に遭わない。老人に近づかれた人は誰もが、まもなく大金を失うか、倒産してしまうのだそうだ。
モスクワで最も若い幽霊
モスクワ地下鉄にまつわる恐ろしい話はたくさんある。そのうちのひとつによると、夜中12時以降にオレンジ色の線の列車に乗るのは危険なのだという。といっても、特定の1日に限ってのことである。1999年9月9日、モスクワ地下鉄で奇妙な事件が起こった。最後尾の車両で5人の女の子が一度に気を失った。その全員が列車の窓の外に若い女性の顔を見ていた。ちょうどその1年前、1998年9月9日、全ロシア博覧センター駅で女性が意識を失い、列車が近づいてくる中、ホームから転落した。女性は亡くなった。それ以来、彼女は自分が死んだ日の夜中12時以降に現れ、乗客を恐怖に陥れて、意識を失わせている。
トヴェルスカヤの猫幽霊
トヴェルスカヤ通りには月に2回、奇数の日に、奇数番地の側に巨大な黒い猫が出る。この猫幽霊はモスクワ観光ガイドも必ず話すほどに有名だ。猫幽霊が最もよく目撃されるのは、トヴェルスカヤ通り21番地にある革命博物館の近くである。モスクワの猫幽霊は国際幽霊ガイドにも掲載されている。
もちろん、モスクワの幽霊に関する伝説はこれ以外にも、もっとももっとたくさんある。こうした伝説が本当かどうかは、モスクワに来て確かめてみていただきたい。