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新戦略では、核兵器は米国の安全保障を確保するための主要な軍事的手段であるため、早急な近代化を必要としていると強調されている。これは核の三本柱を構成する原子力潜水艦、戦略爆撃機、大陸間弾道ミサイルすべてに当てはまる。
米国は、必要な場合には通常兵器による攻撃に対しても核攻撃で対抗する可能性を示している。これは、世界的な核戦争にはつながらないとしても、戦いに参加するあらゆる国にとって恐ろしい結果となる可能性があることを意味している。
なおロシアの複数の軍事アナリストらは、米国の新戦略があまりにもあやふやな表現を有していることを特に警戒している。例えば新戦略では、敵によるインフラ、指揮拠点、通信手段への戦略的な非核攻撃に対しても核兵器での報復が許されている。しかも米国だけでなく同盟国に対する攻撃も含まれている。
ロシア、中国、日本
ロシア外務省は米国の核戦略について、懸念と失望を呼んでいると発表した。ロシア上院(連邦会議)国際問題委員会のコサチョフ委員長は、核政策の外観は「米国独自の高まる攻撃性や、核潜在力の近代化に大規模投資する米国の方針を、あらゆる側からの米国へのある種の脅威によって正当化する試みのように見える」との考えを表した。
中国は米国に対し、冷戦時代の思考を捨てるよう呼びかけ、新戦略では「中国の開発計画に関する憶測が挙げられており、また中国の核の脅威を主張する誇張が存在している」と発表した。
なお日本は、米国の新たな核戦略を支持した。河野外相は、米国の同盟国に対する拡大抑止へのコミットメントを明確にしているとして、「高く評価する」と発表した。一方、被爆者たちからは反発の声が上がった。被爆者らは、核弾頭の威力を抑えることは「核の敷居」を下げることにつながり、米国の新戦略は核兵器を使用した戦争の危険性を高めると考えている。
ドイツのガブリエル外相は「新型核兵器の成り行きを懸念を持って注視するべきである」と指摘した。また同氏は「新たな戦術核兵器に関する米政府の決定は、新たな核兵器開発競争のスパイラルが回り始めたことを示している。冷戦時代のように、これは我々欧州にとって特別な脅威である。だからこそ我々は今まさに兵器に対する管理分野と軍縮に関する新たなイニシアチブを促進しなければならない」と述べた。
米国の新戦略を最も否定的に評価したのは恐らくイランだろう。イランのザリフ外相はツイッターで「米国の核ドクトリンは、核拡散防止条約に反して核兵器への大きな依存を示しており、これは人類を絶滅へ近づける。『終末時計』の針が、1953年以来の最も危険な状態にあるのも驚くことではない」と批判した。
なおザリフ外相が述べたのは、米誌ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツの表紙絵として誕生した象徴的な時計のこと。1月、時計の針は30秒進められて23時58分となり、世界は冷戦ピーク時の1953年と同じ残り2分となり、最も「核の」0時(人類滅亡)まで近づいた。