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2月10日、オリンピックに合わせて韓国の文在寅大統領は、北朝鮮の金永南・最高人民会議常任委員長及び金正恩氏の妹、金与正氏とおよそ3時間にわたる会談を行った。会談では、北朝鮮側が文大統領に金正恩氏の新書を手渡し、南北首脳会談を行うために早期に北朝鮮を訪問するよう要請したのが重要な場面となった。
世界及び韓国のマスコミは、脱北した避難民の息子であり、北朝鮮との融和政策の支持者である文氏は、南北の和解者として歴史に名を残すことを夢見ているため、恐らく訪朝するだろうとの見方を示している。
興味深いのは、北朝鮮代表団との会談後に文大統領が米国のペンス副大統領と日本の安倍首相との3者会談を拒否したことだ。恐らく文氏は根拠があって3者会談でペンス氏と安倍氏が北朝鮮に対して厳しい圧力をかける路線に文氏を戻そうとすると考えたからだと思われる。
安倍首相はオリンピックの場で、北朝鮮代表団を率いる金永南氏と短い時間、言葉を交わした。安倍首相は北朝鮮側にミサイル・核開発の放棄及び日本人拉致問題の解決を求めた。なお米国と北朝鮮は平昌での会談を断固拒否した。
大勢の専門家らが、南北首脳会談が実施される可能性はあるとの見方を示している。そこで「その後はどうなるのだろうか?」というもっともな疑問が湧いてくる。朝鮮半島の緊張緩和に期待してもいいのだろうか?
ロシア高等経済学院のアンドレイ・フェシュン准教授は、通信社スプートニクのインタビューで次のような見方を示した-
今のところ緊張緩和について話す理由はない。オリンピックとパラリンピックが閉幕したらすぐに米国と韓国は北朝鮮から至近距離の地上と海上で軍事演習を再開する。北朝鮮が報復を待たないのは明らかだ。それはもしかしたら新たな弾道ミサイルや核兵器の実験となるかもしれない。日本は北朝鮮に対する圧力をさらに強化するよう呼びかけた。だが、これ以上どうやって強化するというのか?想像できる措置はすでに講じられた。残っているのは軍事的措置だけだ。米国と日本は、その核開発と核兵器が未知数の北朝鮮が緊張の要因であり続ける状況に満足しているような印象を受ける。金正恩氏が核開発を放棄することはないことを誰もが知っている。なぜならそれは彼にとって自殺に等しいからだ。
ロシア戦略研究所の専門家ロマン・ロボフ氏は、五輪閉幕後に地域の不安定さが元のレベルに戻る可能性があると危惧している。同氏は次のように語っている-
朝鮮問題に関する当事者たちの立場の概要は変わらない。北朝鮮指導部が核開発の放棄に関する対話を望むことは恐らくないだろう。北朝鮮の今後のミサイル実験のモラトリアムが議論のテーマになる可能性はあるが、米国と韓国が合同演習を放棄することは恐らくないだろう。まさに合同演習の実施期間中に朝鮮半島では緊張の高まりがみられている。そのため朝鮮半島の『雪解け』がさらに暖かくなるのは、韓国指導部に対立の傾向を変えるための十分な政治的意思がある場合にのみ可能となり、外部プレーヤーはそれを妨害することはできないだろう。
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