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この会談について日本では「サプライズ」「電撃発表」だとする向きが強いが、モスクワ大学政治学部アンドレイ・マノイロ教授は、この時期が選ばれたのには意味があり、会談の実現は最低でもここ1年の水面下の交渉によるたまものであると見なしている。
マノイロ氏は今年11月に米国で行なわれる中間選挙に注目している。中間選挙では下院全議席と上院3分の1の議席が改選されるとともに、州知事選も行なわれ、米国民全体がトランプ政権のあり方を問うことになる。与党・共和党が上下両院で過半数を維持できるかが、トランプ政権の今後を占う注目ポイントになる。
マノイロ氏「中間選挙で勝ち、2020年にトランプ氏が再選されるかどうかが焦点になります。トランプ氏としては内政問題、ロシア・ゲート疑惑から目をそらさせ、外交問題に焦点をあてさせたいのです。トランプ氏は最近まで非常に激しく感情的に、北朝鮮の脅威を非難していました。ですから彼が金正恩氏と会うことは皆にショックを与えるという意味で理想的ですし、最低半年はこのネタが使えるでしょう。もしトランプ氏が11月までに北朝鮮と非核化の合意をとりつける、またはそれに近いことができたら、彼の国際的評価も上がり、自国の安全を守るという意味でも大成功を収めたとアピールできるでしょう」
マイノロ氏「日本の政界ではこれまで、対話では不十分だ、軍事的圧力を高めよという声が高まっていました。しかし日本人は、朝鮮半島で軍事衝突を誘発するほぼ唯一の要因がトランプ氏であるこということも分かっています。韓国も同じ気持ちです。なので、トランプ氏の発言に対してビクビクしているのは北朝鮮ではなくて韓国の方です。今回の米朝会談は、日本と韓国にとって緊張緩和の希望なのです」
元外交官で、日朝国交正常化交渉日本政府代表も務めた美根慶樹氏(平和外交研究所代表)は、これを機会に、日本としても「圧力一本やり」政策を修正し、「対話」重視に転じるべきだと主張している。
美根氏「日本は対話について消極的な姿勢でしたが、この方針を変えるべきであることははっきりしています。安倍首相は4月にも訪米しますが、トランプ氏に会う際には、トランプ氏が金委員長と『対話』することについて、意義があるという考えで臨むべきです。これは今までの日本の政策からすれば大きな転換になりますし、それができるかどうか疑問はありますが、とるべき道は明らかです。朝鮮半島の非核化は話し合い・交渉という平和的手段によって実現可能なのですから、それを目指してもらいたい」
Cho Jingu氏「韓国政府は、朝鮮半島の核問題解決について、日本やロシアを除外するのは得策ではありません。我々はできる限りの配慮をもってして、南北首脳会談に臨まねばならないのです。ですから、日本を含む周辺国の協調は非常に大事です。もちろん日本は核・ミサイル問題だけでなく拉致問題も含めてを総合的に解決したいのだと分かっていますが、日本と北朝鮮の立場が違いすぎ、また日本国内の北朝鮮に対するネガティブな反応を考えると、この点で両者が接近できるかどうかわかりません。拉致問題解決のため日本政府は勇気のある前進をするべきではないでしょうか。しかし今の安倍首相を見ていると、スキャンダルで手一杯で、外交問題に真剣に取り組む余裕がないように見えます」