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米国を訪問した日本の河井克行首相補佐官は、平壌との交渉に向けて良い傾向が現れたのは、効果的な制裁のおかげであると指摘した。そのため、北朝鮮政府に対する圧力は継続される。しかし、現在、米国と所謂「同じ船」に乗った日本は、北朝鮮危機の解決の道を進む中で、船からふり落とされるのではないかと危惧している。こうした意見をスプートニクに語ったのは、ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究センターのワレーリー・キスタノフ所長だ。キスタノフ氏は次のように述べる。「日本政府にとって、トランプ大統領と金正恩が会談するというニュースは寝耳に水だったと思われます。日本は、日本を迂回して、朝鮮半島の安全保障に関する米朝合意が締結されるのではないかと懸念しています。そして、トランプ大統領が日本と韓国といった同盟国を無視して、アジア政策を実施していくのではないかと疑念を抱いています。おそらく、こうした不安がきっかけとなり、安倍首相は、将来的には自分もトランプ大統領と同じく、金正恩と会談する用意があると発言したのでしょう。安倍首相の目的は、米朝対話で蚊帳の外に置かれないことであり、プロセスに関与し続けていくことです。」
米大統領と金正恩の会談の前に、安倍首相はワシントンでトランプ大統領と会談する意向だ。ワレーリー・キスタノフ氏によると、この会談で首相は、北朝鮮への制裁を維持するという強硬姿勢と、金正恩との個人的な会談を実現するという欲求をひとつにまとめるという難しい課題が課されるという。キスタノフ氏は言う。「安倍首相は、もし本当に米朝会談が実現するのであれば、トランプ大統領が金正恩との会談でいかなる妥協もしないよう、可能な限りあらゆる方法で説得を試みるでしょう。そして、金正恩から北朝鮮の核放棄に関する発表を必ず米朝会談に先立って取り付けるよう依頼すると考えられます。しかし、制裁に関する妥協と北朝鮮体制の安全に対する保証がなければ、これは現実的ではありません。」
米国自身が金正恩との会談に関して、まだ明確な立場を確立できていないことも日本に警戒感を与えている。レックス・ティラーソン氏の国務長官解任というトランプ大統領の決定において、北朝鮮の核問題をどのように解決するかに関する意見の不一致が大きな要因となったことは知られている。
いずれにせよ、ワシントンは今のところ、この会談を前に自らに何らかの枠や義務を課すことを明らかに欲していない。また、金正恩との会談で関係者全員が納得するような成果を得ると、安倍首相に確約する気が米国に生じるかどうかも不明だ。なにしろ、来たる米国との会談で、金正恩が核問題に関して何らかの大きな妥協をする見込みは極めて不透明だからだ。一方で、安倍首相は、北朝鮮は原子力施設の査察を受け入れるべきだと考えている。その際、日本政府は、IAEAが必要な検査を実施するための初期費用を負担する用意ができている。