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自民党の二階俊博幹事長は講演の中で、日本人の多くは、ロシア人に会ったこともなく、ロシアに行ったこともないのに、ロシアは遠いと思い込んでいると指摘し「人的往来が低い水準にとどまっているのは、ロシアに親しみを感じる日本人がまだまだ多いとは言えないことに一因があるのだろう」と述べた。
二階氏は、今年は日露交流を深めるまたとないチャンスだと強調し、日露間の人的交流を日中間のレベルにまで引き上げたいと意欲を示した。また、二階氏は自民党とロシアの与党「統一ロシア」との政党間交流も積極的に進める姿勢を示し、講演後にメドベージェフ首相と会談した。
経団連・日本ロシア経済委員長の朝田照男氏(丸紅会長)は、ロシアに進出する日本企業の率直な意見として、極東のインフラ整備促進、極東の経済特区における税制優遇期間の延長、投資後のアフターケアの充実など具体的な改善点を挙げた。
フォーラムの枠内で、人材育成に関する有識者会議や、観光・極東、エネルギー開発、都市開発など分科会が開かれた。セクション「社会システム:都市開発、IT、サービス」においてToshiba RUSの手塚博昭社長は、顔認証システムをロシア企業にライセンス供与するほか、大いに成長が期待できる分野として最新のバッテリーソリューションをロシア側に提案中であると明かし、幅広くロシアの社会インフラに貢献していく姿勢を示した。NTTコミュニケーションズロシアの清明(せい・あきら)社長は、日露間のIT分野では互いに情報を共有する仕組みが必要であり、プログラミングの優秀さなど、ロシアの強みがもっと日本でも認識されるべきだとの見解を示した。ウラジオストクの再開発を手がける日建設計の中分毅(なかわけ・たけし)副社長は、駅周辺とウォーターフロントの一新により、ロシアの玄関口、歴史文化都市としての魅力を強化したいと話した。
昨年8月からウラジオストクでは電子ビザ制度が導入され、ロシアの他地域よりも簡単に訪れることができるようになっている。しかし沿海州・観光発展課のナジェージダ・ウドヴェンコ課長によれば、この制度を利用して沿海州を訪れた日本人はまだ2200人程度にすぎないという。
フォーラムに参加した喜代村(すしざんまい)の木村清社長もまた、ウラジオストクの再開発に関係する一人だ。「ウラジオストクには魚市場ができます。いつでも新鮮な魚が食べられるような環境を作り、ゆくゆくはモスクワにも広げたい」と話している。