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複数の日本企業が参加している注目の大プロジェクトといえば、北極圏でガスを液化するヤマルLNGプロジェクトだ。一年のうち8か月は冬で、マイナス60度も珍しくないヤマル半島にLNGプラントを建設し、そこからガスを出荷する。千代田化工建設の堀口宗尚執行役員は「かつて無かったようなチャレンジングなプロジェクト。今月生産を開始し、来月には初出荷します。極寒の地で作業が大変な中、進捗していることを誇りに思います」と話す。輸送面からサポートするのは商船三井だ。氷を割りながら自由に航行できる最新鋭の砕氷船3隻を含む7隻を投入し、北極海航路を利用した輸送にあたる。
また目黒氏は、もう一つの理由として「儲かっているという成功体験が少ない」と指摘。ロシア側は投資を呼び込んで「終わり」とするのではなく、企業が長く働きやすい環境を作るべきだと助言した。実際、他の日本企業からの報告では、都市再開発に伴って工場移転を迫られたり、当初想定していなかった新税制の導入が検討されるなど、ロシア進出後のマイナス面が指摘された。
この他にも日本側からは日本政府が推進する国家戦略「Society 5.0」やロシアの都市インフラ整備の課題、人的交流拡大などについての様々な報告がなされた。
朝田氏は「近年ロシアにおいて、小売業など新しい分野で日本企業が堅調な成長を見せている。経団連としてもロシア政府の取り組みを高く評価する」とした一方で、日本企業のTOR(極東中心に整備されている新型の先進経済特区)の利用率が極めて少ないことを指摘。TORや各種経済特区の利用価値を日本企業が理解できるよう、ロシア側によりわかりやすい情報発信をするよう呼びかけた。また朝田氏は、日露間の貿易が伸びない最大の理由の一つは極東のインフラの未整備にあると指摘し、極東の輸出港としての機能や将来的なキャパシティにも懸念を示した。
次回の会議について関係者は「来年にも東京での開催を目指したい」と話している。