スプートニク日本
小説『アンナ・カレーニナ』を新たに映画化した『アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語』は、ロシアの評論家たちの間で様々な反応を呼び、ロシア皇帝ニコライ2世とバレリーナのマチルダ・クシェシンスカヤのロマンスを描いた『マチルダ』は、大きなスキャンダルを呼んだ。
通信社スプートニクは、東京での上映後に観客にお話を伺い、ロシア人女性の謎めいた性格は現代日本人にとって身近であるかどうかについて明らかにした。
- 皇帝への愛がスキャンダルに
ロマノフ王朝終焉から100年目の2017年、ロシアで皇帝ニコライ2世とバレリーナ、マチルダ・クシェシンスカヤのロマンスを描いた映画が上映された。ロシアでは同映画をめぐってスキャンダルが勃発し、同作品は上映前から大きな話題となった。
だがポクロンスカヤ氏を支持する正教会の活動家たちはさらにアグレッシブだった。『マチルダ』を制作したアレクセイ・ウチーチェリ監督は、一度ならず脅迫を受けた。
しかし『マチルダ』は上映された。国による調査でも、観客の評価でも、皇帝とバレリーナの関係に関する芸術的解釈に侮辱的なものは一切見つからなかった。さらにニコライ2世は、未来の妻アレクサンドラ・フョードロヴナとの婚約前にマチルダ・クシェシンスカヤと実際に交際していたことが歴史的に証明されている。ニコライ2世との破局後、マチルダは複数の偉大な大公や皇帝の親族と交際した。マチルダは、ニコライ2世の死から53年後の1971年に99歳で亡くなった。
マチルダ・クシェシンスカヤという人物や、同映画そのものに関する日本の観客たちの感情は異なり、映画の反対者を支持する人たちもいた。
スプートニク:映画を観る前にマチルダについて知っていましたか?
スプートニク:マチルダという人物についてどうお考えですか?
ヨコヤマ アヤカさん:映画を観る限りでは、マチルダが何をしたいのかが余り理解できなかったです。
ツチダ マキコさん:自分のしたいことをして生きていたと思うんですが、最後に出てくる、マチルダは99年生きたというのが意味深でした。ニコライは早くに殺されましたが、マチルダは長生きしたのは印象的でした。
オザキ マサミさん:ロシアでバレエは高貴なもので、マチルダも高貴な意思を持って入り、演技にもそれが表れていたと思うんですが、愛にすべてが壊されていく切なさというか、狂気が印象的でした。
ヨコヤマ アヤカさん:私は昔バレエをしていたので、最初のシーンのバレエの描き方がすごく嫌な感じがしました。ロシアで保守的な人たちがこの映画についてあまりよく思っていないと聞きましたが、私には理解できました。ただ、全体的にはバレエの描き方以外はすごくきれいな映画だと思います。
ツチダ マキコさん:衣装は電飾を使っている感じで、今の映画じゃないとできないような技術を使って昔の時代を撮っているのが印象的でした。また、演出がドラマチックで、過剰なほどドラマチックだったので、これは監督の意志なのかと思いました。
- 露日戦争を舞台にしたアンナ・カレーニナ
ユミさん: 「はい、気に入りました。ですが、アンナの気持ちの変化が少し難しかったです。
スプートニク:アンナの気持ちは何か理解できましたか?
ユミさん:「映画だけでなく、原作を読んでみたいと思いました。
スプートニク:アンナ・カレーニナはまだ読んだことがないですか?
ユミさん:「子どものときに簡単にしたものだけ読んだことがありますがもう忘れてしまったので、ちゃんと原作を読みたいなと思います。
ユミさん:背景が変わっているということですね。興味深かったです。映画冒頭あたりに日本軍が来て、人の首を切っているシーンがありますが、それは怖かったですし、ロシア人はそのように日本軍のことを見ているのかと興味深くもありました。満州が舞台でしたし、日本人が中国ですごく残酷なことをしたと、今のロシア人が思っているのかなと思いました。それはアンナ・カレーニナのもともとの筋とは違うかもしれないですが。
ケンさん:フランス映画などと違い、ロシアは結婚などの点で厳格であり、ちゃんと離婚しないといけないのかと思いました。あとは、原作を読まずにいきなり映画を観ているので、よくわからない部分があった。主人公が爆破して死ぬんだと理解しましたが、時代背景がわからず、なぜそうなったのかわからないこともありました。その点は後で調べてみればいいかなと思います。
『アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語』と『マチルダ』は、日本におけるロシア年の一環として上映された。「国立映画アーカイブ開館記念 日本におけるロシア年2018ロシア・ソビエト映画祭」は、国立映画アーカイブで8月5日まで開催される。
なお『マチルダ』は、同じくロシアにおける日本年の一環として、今年11月に再び日本の映画館で上映される。