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中東にアラブ諸国の新たな軍事同盟を創設するという案は、新しいものではない。米国は「アラブの春」の時期から、同案を推進してきた。軍事・政治分析局のアレクサンドル・ミハイロフ局長は、通信社スプートニクの取材で、米国が同盟創設に向けて再び努力することになった理由について、次のように語った-
新たな同盟では、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプトが軸となり、ヨルダン、クウェート、カタール、オマーン、バーレーンは『アラブ版NATO』を内側からしっかりと「固定する」役目を担うとみられる。アラブ統一軍は4万人の兵士を擁し、本部はカイロに置かれる計画。
トランプ政権は、まだ存在しない同同盟の名称を考えた。名称は「中東戦略同盟(MESA)」とされ、10月中旬にワシントンで開かれるペルシャ湾岸諸国の首脳会談で、その課題について具体的に発表するという。イランのジャーナリスト、ムハンマド・ガラウィ氏は、スプートニクの取材で、何が米国をこのような行動に向かわせているのかについて、次のような見解を表した-
一方、ミハイロフ氏は、米国の道には障害があると指摘し、次のように語っている-
「米国が『アラブ版NATO』プロジェクトをしつこく勧めている中東の国々は、明らかに、自国の軍事力を単一管理センターの下に集結することを急いではいない。同地域の国々のほぼすべての指導者が、現在ロシアと緊密なコンタクトを持っていることを忘れてはならない。これは多くにおいて、シリア紛争中に中東で失われた軍事ポテンシャルをロシアが回復したのが主な要因となっている。そして、例えばサウジアラビアとアラブ首長国連邦、ヨルダンとカタールなど、米国の中東の同盟国の間には数多くの政治的矛盾が存在している。また『くすぶっている』シリアや、シリアの軍事行動地帯へのイスラエル軍の絶え間なき介入も、アラブ共同体全体が明確に承認しない要因となっている」。
「サウジアラビア、カタール、エジプトは、ロシアのS-400地対空ミサイルシステムの供給について自ら交渉を行っている。ロシアは中東でソ連時代から小火器、陸上用戦闘車、対空システム、複合体、航空機、弾薬などを販売している」。
一方、米国は、「アラブ版NATO」の受益者となり、中東諸国が武器の購入先を切り替えて米国製の武器のみを購入するようになるという希望を持ち続けている。つまり、この同盟を(NATOのように)自国の直接的な経済的利益のために利用するということだ。