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文大統領と北朝鮮の金正恩委員長による交渉の議題には、板門店宣言の内容の段階的実現が含まれている。この文書は、両首脳による初会談の結果、非武装地帯(DMZ)内の板門店で、4月27日に両首脳によって署名された。「朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言」と題されたこの文書は、軍縮及び鉄道と経済協力の発展に関する協力、DMZの平和地帯への移行、離散家族の再会などを含んでいる。
だが、南北朝鮮による接近の土台となるべき主要な領域として残っているのは、経済協力だ。長年、その象徴となっていたのは、南北両政府間の関係悪化後の2016年2月に閉鎖された北朝鮮国内の開城工業団地だった。南北は現在、その復活に関して積極的な作業を進めている。将来の経済協力プロジェクト立案のための共同事務所が、ちょうど来たるべき首脳会談に向けて開所した。
しかし、専門家らは、来たるべき首脳会談の見通しについて、楽観の程度がより低いものとみている。ロシア戦略研究所の朝鮮半島専門家、ロマン・ロバノフ氏の見解によると、今回の首脳会談から何らかの重大な、突破口となるような措置を期待する意味はないという。「北朝鮮政府も、韓国政府も、対話を継続させようという考えを持っている。しかし、半島における緊張状態の明らかな低下は、北と南の間のあらゆる形式の経済協力を困難にする対北朝鮮制裁の緩和にはつながらなかった。韓米両政府内では制裁の撤廃を急いでおらず、このことが北朝鮮側にとって疑問を引き起こしている。イメージしやすいように言うと、南北関係の状態は、土台や杭を使わずに不安定でじめじめした土壌の上に建てられた家にたとえることができる。そのような家の状況は、地盤の振動によって左右されることになる。南北関係の状況も全く同様で、政治情勢に対して極めて従属した関係にある」と、ロバノフ氏は指摘している。
金委員長は数日前、トランプ米大統領に宛てて書簡を送り、その中では、両国首脳間の次の会談を準備することが提案されている。制裁解除に対し北朝鮮指導者が抱く期待にトランプ大統領が応えるかどうかは、まだ答えがないままの問題だ。