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ロシアにおける木版画の普及に努めているのが、モスクワ在住の小林圭子さんと、ロシア人のマリーナ・ボロジナさん。両氏は、日本の伝統的な水性木版画の国際的な普及活動に取り組んでいる「国際木版画ラボ(MI-LAB)」の研修を修了しており、ロシアで木版画の作品を制作したり、指導を行っている。なおボロジナさんは、現時点でMI-LABの制作プログラムに参加した唯一のロシア人だ。
モスクワでは10月25日〜11月4日まで、「モスクワと東京をつなぐ『国際化する木版画展(GLOBALIZING MOKUHANGA)』」が開かれている。主催はアートスクール「プラスタヤ・シコーラ」。小林さんとボロジナさんが木版画を教えている学校だ。なお展覧会は「日本におけるロシア年」の行事でもある。
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ワークショップで指導したのは、古川朋弥さん、瀧千尋さん、塩川彩生さん。
古川さんは編集とライターの仕事をしながら、江戸生まれのおもちゃ「ずぼんぼ」のワークショップなどを行っており、「ずぼんぼ」の制作に木版を使用している。瀧さんと塩川さんは、木版の技法を取り入れた現代アート作品を制作している。木版画展では3名の作品も展示されている。
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古川さん、瀧さん、塩川さんは、今回初めてロシアを訪れた。ロシアの印象などについてお話を伺った-
塩川彩生さん:ロシアの印象はとてもいいです。思っていたより街もきれいですし、食べ物もおいしいですし、優しい方ばかりです。海外の人に作品を見てもらって木版画を知ってもらえる活動をこれからもしていきたいです。
古川朋弥さん:日本より寒いのを肌で感じました。街が思っていた以上に芸術的で、歩いていてとても幸せな気分になります。また木版画のワークショップに参加してくださっている方々は、自分たちでいろいろと調べた中で参加しているので熱心ですし、いろいろな世代の人と同じアトリエで版画の作業をするのは素晴らしい文化交流の一つだと思います。また木版画を学ぶことで今回ワークショップに参加しているロシアの人たちが個々の芸術表現を広げる助けにもなると思いますし、木版画という芸術を知っていろいろな芸術に対して理解を深めていく場に居合わせることができてとても光栄です。
「モスクワと東京をつなぐ」木版画の活動は、芸術文化の発展だけでなく、両国民の相互理解の促進にも寄与している。ロシアにおける木版画の第一人者である小林圭子さんとマリーナ・ボロジナさんの今後の活動が注目される。