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記者団の質問に答え、ザハロワ報道官は15日、「仕事が進められている。この問題(編注:平和条約)に対する私たちの立場に変更はない。この問題に関する新たな協議形式のニュースは今のところない」と述べた。
安倍首相もオーストラリア・ダーウィンで開いた記者会見で「今回の合意は、領土問題を解決して平和条約を締結するという従来の我が国の方針と何ら矛盾するものではない」と述べた。
だが双方の保守的な発言は、シンガポールで一致した協議加速の決定と上手く噛み合わない。ザハロワ報道官と安倍首相の発言はむしろ、観察者と両国の世論を少し安心させる意図があるように伺える。だがセンセーショナルな情報流出が報じられている時、世論の鎮静はそう容易ではない。
朝日新聞は16日、安倍首相がプーチン大統領との会談で、南クリル諸島が日本側に引き渡された場合、島に米軍基地を配備しないと伝えたと報じた。この問題を議題に挙げたことは日本の立場と矛盾しないが、一連の問題を生み出す。
ロシアの保守派は、北大西洋条約機構(NATO)がゴルバチョフ元ソ連大統領に東方拡大しないと約束したのに関わらず、ロシア国境沿いまで拡張したことを指摘した。弾道弾迎撃ミサイル制限条約(ABM条約)や中距離核戦力(INF)全廃条約といった戦略的安定を保証する極めて重要な条約からの米国の離脱は、書面での合意の価値も著しく低下させる。日本への諸島引き渡しの場合も同様の状況が繰り返されないという保証はどうあり得るのか?
一方、ロシアは日本の新たな提案の評価を避けた。ペスコフ大統領報道官は16日、朝日新聞の記事へのコメントを求められ、「平和条約のテーマに関するこの会話を、首脳らは1対1の形式で行った。ニュアンスに関しては、公開したくはない」と答えた。
ロシア政府は、南クリル諸島の問題の解決案が両国の国民に受け入れられる必要があると一度ならず繰り返している。だが、加速した協議でこれは可能だろうか?